2014年7月6日「種を蒔けば、刈り取り取ることに」士師記9:22〜57

序−酷い方法でアビメレクは王となりましたが、すべてが彼の思い通りにはなりません。シェケムの人々との間にひびが入り、互いに戦うようになり、滅んでしまいます。種を蒔けば、刈り取り取ることになります。

T−欲と罪から起こる疑いと憎しみ−22〜25
 父ギデオンの死後、機を見て敏なるアビメレクは、悪知恵の働かせて母の町シェケムの人々を引き込み、兄弟たちを殺して王となりました。しかし、権力を手にした後、両者の間に変化が生じます。3年間の支配の間に、両者の間にひびが入り、疑いが生じて来ました。22~24節。アビメレクは、シェケムの人々の助けを必要とする時には、「私はあなたがたの身内だ」と言い、王となった後では、イスラエルの人々に対して、「私はギデオンの息子だ」ということを強調していたのです。そして、支配地が広がって行くとともに、シェケムは次第に疎外されるようになりました。王になれたら、シェケムは用済みということでした。
 当然シェケムは、アビメレクに対して不満を持つようになり、反感が増して行きました。このことを、神様が両者の間に「わざわいの霊を送った」と表現しています。これは、神様が彼等の間に悪霊を送ったということではありません。神様は、悪霊やサタンを送る方ではありません。神様の恵みや守りの御手を引かれたので、悪い霊が働くようになったということです。それで、両者は、互いに疑いを持つようになりました。つまり、この悪い同盟の破滅は、神様の義の御手によると言ってもよいでしょう。
 私たちの心が平安でいられるのは、神様が恵みをくださり、守ってくだっておられるからですが、それを聖書では、「主の霊を送った」と言います。サウル王の例では、彼が不信仰になると、主の霊が去り、わざわいの霊が彼をおびえさせたと言っています。Tサムエル16:14。神様の恵みの御手が引かれてしまえば、疑いや憎しみが増し、争うようになります。私たちは、堅く信仰に立って、神様の御手の中に守られることを願います。
 アビメレクは、支配がうまく行っていると思ったのでしょうが、罪の種を蒔けば、その結果を刈り取ることになります。ガラテヤ6:7~8。結託した彼等の間に疑いや憎しみがしだいに増して行って、両者の間に分裂が起こるようになります。25節。アビメレクは頭の良い人でした。イスラエルを支配するには、イスラエル人の指示が必要と分かり、ギデオンの息子として支配し、シェケム人を無視したのでした。それで、シェケムの人々が不満を持ち、峠の道で略奪行為をするようになりました。わざとアビメレクに知られるためにしたことです。「我々の助けで王となれたのに、我々を無視するのか」という示威行為でした。彼の悪行をいろいろ知っていたので、「我々も静かにしていないぞ」と脅かしでした。
 罪で結託する者たちは、罪によって分裂するのです。サタンは人を騙して、争わせます。不満を持たせ、怒りを生じさせます。そして、憎しみを持たせるのです。イエス様を信じる者は、このサタンの常套手段に引っ掛かってはなりません。不満や怒り、妬みが生じた段階で気付き、主の前に持って行かななければなりません。最初は、ちょっとした疑いから始まり、罪の思いが争いや憎しみを生じさせます。

U−仲間割れ、反目に引き込まれる−26〜35
 シェケムとしては、アビメレクを助けて利用するつもりでした。思うようにならないので、略奪行為をして支配者の立場を揺さぶりました。しかし反応がないので、反旗を翻すようになります。25〜29節。シェケムj人の心情を知ったガアルは、アビメレクをののしり、シェケムの人々の怒りをあおりました。しかし、彼等は、アビメレクが昔のアビメレクではないということをあまり認識していなかったようです。つまり、3年間も支配していて、力を持っていることを忘れています。
 宴会を開いて騒いでいる時、ガアルがアビメレクをののしる言葉に注目しましょう。物は言いよう、悪者は都合よく言うものだということです。アビメレクがシェケムの指示を得ようとした時、私にはシェケムの血が流れていると強調しましたが、ガアルがシェケムを離反させようとする時には、アビメレクはギデオンの息子、イスラエル人、シェケムの敵だと強調したのです。ハモルとは、イスラエルの先祖、ヤコブの時代のシェケムの族長の名です。ヤコブの息子たちによってハモル一族が殺された事件を思い出させています。創世記34:25~27。こうして、シェケムの人々は、あおられ、憎み、アビメレクを裏切るようになります。
 ガアルは、シェケムのアビメレクに対する疑いを感じ取って、シェケムの人々が反旗を翻すように誘いました。私たちも、様々なことについて疑いを持つようになることがあるでしょう。その時、信仰の目で見て、謙遜な心で聞くならば、問題なく受け止め、混乱することはないでしょう。しかし、私たちの心が神様から離れているなら、怒りや反発が生じ、憎しみ、争うことに進んでしまいます。それをここでは「神がわざわいの霊を送った」と言っているのです。ダビデを憎んで、執拗に殺そうとしたサウル王も、はじめはダビデを疑ったからでした。Tサムエル18:8〜9。
 騒動が起こらない内に、シェケムにいた役人を通じてアビメレクに知らされることになります。30〜33節。人づてに言葉が伝わる時、増幅されて伝わることがあります。この時も、流れ者のガアルが町の人々をあおっていた言葉が、シェケムの謀反という言葉に変わっています。すぐに襲撃しないと、という思いを持たせました。シェケムの役人ゼブルの告げ口は、疑いを抱いていたアビメレクの心に激しい怒りを引き起こし、裏切り者シュケムのやつらを一人も生かすものか、という復讐へ進ませました。
 シェケムの人々も、アビメレクも、その罪のゆえに、神様から心が離れていたために、互いに悪意の疑りを持って、ついに戦いへと進んで行きます。Tテモテ6:4。私たちは、神様から心が離れて高慢になると、「疑いをかけたり、ことばの争いをしたりする病気にかかって」しまいます。始まりは、ちょっとした疑いや誤解です。悪く取って、怒り、憎んだりすることを絶対に避けなければなりません。

V−行き過ぎた怒りの結果−36〜57
 こうして、両者の関係がよじれて、互いに殺し合うようになります。ヨタムの予言どおりになりました。アビメレクの怒りは燃え上がり、その報復はとどまることを知りません。怒りの炎は、恐ろしいものです。多くの人々が、注意することなく怒りを爆発させます。相手や状況を考えずに、暴言を吐きます。アビメレクのシェケムの人々に対する怒り、憎しみは、尋常ではありません。39〜41節。アビメレクの奇襲に負けて、ガアルもシェケムから追い出されてしまったのに、これで終わりませんでした。
 アビメレクの復讐は、自分を裏切ったシェケムの人々を全滅させようとするものでした。アビメレクが帰ったので、次の日町の人々は町から出てぶどう園に行きました。そこへ、近くの城に隠れていたアビメレク軍が襲撃して、殺戮しました。さらに、町を襲って全滅させ、町を破壊しました。42〜45節。塩をまいたというほど、彼のシェケムに対する憎悪は凄まじいものでした。ポエニ戦争に勝利したローマは、カルタゴを破壊した後塩を撒きました。また、生き残った者がやぐら、すなわちバアルの神殿にいると知らされると、千人を神殿ごと焼き殺してしまいました。46〜49節。残虐極まりない姿です。叡山を焼き払った信長のようです。
 彼のシェケムに対する憎しみはそれで終わりませんでした。近くの町テベツへ逃げた人々を追って行き、その町を攻めました。その町の神殿に逃げたことを聞いて、それを焼こうとしたとき、ひとりの女がアビメレクの頭にひき臼の上石を投げつけたので、彼はあっけなく死んでしまいました。50〜54節。罪と欲を追求し、怒りと憎しみのまま、残虐を続けた悪者の上に鉄槌ならぬ、ひき臼の石が下ったのです。
 この出来事から私たちが学ぶべきことは何でしょう。神の民が信仰回復の火を消してしまった罪が大きいということです。それがためにアビメレクやシェケム人が登場し、悪をなしたのです。私たちは、神様の哀れんでくださることを感謝して、ますます祈りと御言葉にすがらなければなりません。祝福を当然視して、思うがままにすれば、悪者と同じです。悪者が登場しても、ある期間そのままにされているだけです。それを悪者たちは、考え違いして、やりたい放題になりますが、突然終わりが来ます。
 神様が恵みを止めれば、人々は互いに疑い、憎み、争うことになります。私たちは、神様の恵みと御言葉にしっかりつながっていなければなりません。たとえ罵られても罵り返さず、怒りを持って怒りに対しないように、イエス様の模範に従います。Tペテロ2:21。もし怒りと憎しみに囚われているなら、神様の御前に持って行きましょう。イエス様の十字架で心の傷を癒していただき、怒りや憎しみから解放されましょう。Tペテロ2:23〜25。
 謙遜がどれほど重要か知るようになります。人が疑い、怒って罵って来ても、謙遜に対するならば、どれほど争いや憎しみに至ることから免れることでしょうか。困難が来れば、神様に叫んで助けてもらいましょう。イエス様の十字架という尊い犠牲でもって救われた私たちは、欲と罪に振り回されたり、サタンに付入れられてはなりません。主の前に、ただ赦された罪人であり、救われた者同士であることを思い、主にあって一つとなって行くことが、神様の喜び、願いです。Tコリント1:10。



士師
9:22 アビメレクは三年間、イスラエルを支配した。
9:23 神は、アビメレクとシェケムの者たちの間にわざわいの霊を送ったので、シェケムの者たちはアビメレクを裏切った。
9:24 そのためエルバアルの七十人の息子たちへの暴虐が再現し、彼らの血が、彼らを殺した兄弟アビメレクと、アビメレクに加勢して彼の兄弟たちを殺したシェケムの者たちの上に臨んだ。
9:25 シェケムの者たちは、山々の頂上に彼を待ち伏せる者たちを置いたので、彼らは道でそばを過ぎるすべての者を略奪した。やがて、このことがアビメレクに告げられた。
9:26 エベデの子ガアルとその身内の者たちが来て、シェケムを通りかかったとき、シェケムの者たちは彼を信用した。
9:27 そこで彼らは畑に出て行って、ぶどうを収穫して、踏んだ。そして祭りをし、自分たちの神の宮に入って行って、飲み食いし、アビメレクをののしった。
9:28 そのとき、エベデの子ガアルは言った。「アビメレクとは何者か。シェケムとは何者か。われわれが彼に仕えなければならないとは。アビメレクはエルバアルの子、ゼブルはアビメレクの役人ではないか。シェケムの父ハモルの人々に仕えなさい。なぜわれわれはアビメレクに仕えなければならないのか。
9:29 だれか、この民を私の手に与えてくれないものか。そうすれば私はアビメレクを追い出すのだが。」そして彼はアビメレクに言った。「おまえの軍勢をふやして、出て来い。」
9:30 この町のつかさゼブルは、エベデの子ガアルの言ったことを聞いて、怒りを燃やし、
9:31 トルマにいるアビメレクのところに使者を送って言わせた。「今、エベデの子ガアルとその身内の者たちがシェケムに来ています。今、彼らは町を、あなたにそむかせようとしています。
9:32 今、あなたとあなたとともにいる民は、夜のうちに立って、野で待ち伏せなさい。
9:33 朝早く、太陽が上るころ、町に突入しなさい。すると、ガアルと、彼とともにいる民は、あなたに向かって出て来るでしょう。あなたは好機をつかんで、彼らを攻撃することができます。」
9:34 そこでアビメレクと、彼とともにいた民はみな、夜のうちに立って、四隊に分かれてシェケムに向かって待ち伏せた。
9:35 エベデの子ガアルが出て来て、町の門の入口に立ったとき、アビメレクと、彼とともにいた民は、待ち伏せしていた所から立ち上がった。
9:36 ガアルはその民を見て、ゼブルに言った。「あれ、山々の頂から民が降りて来る。」すると、ゼブルは彼に言った。「あなたは、山々の影が人のように見えるのです。」
9:37 ガアルはまた言った。「いや。人々がこの地の一番高い所から降りて来る。また一隊がメオヌニムの樫の木のほうから来る。」
9:38 すると、ゼブルは彼に言った。「『アビメレクとは何者か。われわれが彼に仕えなければならないとは』と言ったあなたの口は、いったいどこにあるのですか。あなたが見くびったのは、この民ではありませんか。さあ、今、出て行って、彼と戦いなさい。」
9:39 そこで、ガアルはシェケムの者たちの先頭に立って出て行き、アビメレクと戦った。
9:40 アビメレクが彼を追ったので、ガアルは彼の前から逃げた。そして多くの者が刺し殺されて倒れ、門の入口にまで及んだ。
9:41 アビメレクはアルマにとどまったが、ゼブルは、ガアルとその身内の者たちを追い払って、彼らをシェケムに住ませなかった。
9:42 翌日、民は、野に出かけて行って、アビメレクに告げた。
9:43 そこで、アビメレクは自分の民を引き連れて、それを三隊に分け、野で待ち伏せた。すると、民が町から出て来るのが見えたので、彼らを襲って打った。
9:44 アビメレクと、彼とともにいた一隊は突入して、町の門の入口に立った。一方、他の二隊は野にいたすべての者を襲って、打ち殺した。
9:45 アビメレクはその日、一日中、町で戦い、この町を攻め取り、そのうちにいた民を殺し、町を破壊して、そこに塩をまいた。
9:46 シェケムのやぐらの者たちはみな、これを聞いて、エル・ベリテの宮の地下室に入って行った。
9:47 シェケムのやぐらの者たちがみな集まったことがアビメレクに告げられたとき、
9:48 アビメレクは、自分とともにいた民とツァルモン山に登って行った。アビメレクは手に斧を取って、木の枝を切り、これを持ち上げて、自分の肩に載せ、共にいる民に言った。「私がするのを見たとおりに、あなたがたも急いでそのとおりにしなさい。」
9:49 それで民もまた、みなめいめい枝を切って、アビメレクについて行き、それを地下室の上に置き、火をつけて、地下室を焼いた。それでシェケムのやぐらの人たち、男女約一千人もみな死んだ。
9:50 それから、アビメレクはテベツに行き、テベツに対して陣を敷き、これを攻め取った。
9:51 この町の中に、一つ、堅固なやぐらがあった。すべての男、女、この町の者たちはみなそこへ逃げて、立てこもり、やぐらの屋根に上った。
9:52 そこで、アビメレクはやぐらのところまで行って、これと戦い、やぐらの戸に近づいて、それを火で焼こうとした。
9:53 そのとき、ひとりの女がアビメレクの頭にひき臼の上石を投げつけて、彼の頭蓋骨を砕いた。
9:54 アビメレクは急いで道具持ちの若者を呼んで言った。「おまえの剣を抜いて、私を殺してくれ。女が殺したのだと私のことを人が言わないように。」それで、若者が彼を刺し通したので、彼は死んだ。
9:55 イスラエル人はアビメレクが死んだのを見たとき、ひとりひとり自分のところへ帰った。
9:56 こうして神は、アビメレクが彼の兄弟七十人を殺して、その父に行った悪を、彼に報いられた。
9:57 神はシェケムの人々のすべての悪を彼らの頭上に報いられた。こうしてエルバアルの子ヨタムののろいが彼らに実現した。



ガラテヤ6:7 思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、その刈り取りもすることになります。
6:8 自分の肉のために蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、御霊のために蒔
く者は、御霊から永遠のいのちを刈り取るのです。

Tテモテ6:4 その人は高慢になっており、何一つ悟らず、疑いをかけたり、ことばの争いをしたりする病気にかかっているのです。そこから、ねたみ、争い、そしり、悪意の疑りが生じ、

レビ19:17 心の中であなたの身内の者を憎んではならない。あなたの隣人をねんごろに戒めなければならない。そうすれば、彼のために罪を負うことはない。
19:18 復讐してはならない。あなたの国の人々を恨んではならない。あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。わたしは【主】である。

Tペテロ2:21 あなたがたが召されたのは、実にそのためです。キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、その足跡に従うようにと、あなたがたに模範を残されました。
2:22 キリストは罪を犯したことがなく、その口に何の偽りも見いだされませんでした。
2:23 ののしられても、ののしり返さず、苦しめられても、おどすことをせず、正しくさばかれる方にお任せになりました。
2:24 そして自分から十字架の上で、私たちの罪をその身に負われました。それは、私たちが罪を離れ、義のために生きるためです。キリストの打ち傷のゆえに、あなたがたは、いやされたのです。
2:25 あなたがたは、羊のようにさまよっていましたが、今は、自分のたましいの牧者であり監督者である方のもとに帰ったのです。

Tコリント1:10 さて、兄弟たち。私は、私たちの主イエス・キリストの御名によって、あなたがたにお願いします。どうか、みなが一致して、仲間割れすることなく、同じ心、同じ判断を完全に保ってください。

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