2014年8月10日「不思議な方の不思議な導き」士師記13:1〜25

序−士師の代表とも言えるサムソンの箇所に入りますが、まずはその両親について学びます。主が人をどのように用いられるのか、どのように人が応答するのかについて学び、私たちへの適用とします。

T−主の使い、男の子を産む予言−1〜3
 サムソンが生まれる前は、霊的に酷い状態でした。1節。イスラエルの一部が外敵に数年間支配され、苦しめられるということでなく、イスラエル全体が、40年もの間ペリシテ人に支配されていたのです。イスラエル全体が沈滞して、復興の望みが完全に消えてしまった状態で、人々は無気力で、悲観的になっていました。まったく希望がないような時でした。
 その時、神様の御使いが一人の夫人にあらわれました。2〜3節。イスラエルから希望が完全に消えてしまったかのような時、神様の御使いが、これまた世的な希望のまったくない人生を送っていた一人の女性にあらわれました。跡取りを産めなかったこの女性にとって、人生は辛く悲しいものでした。当時、子どもを産むことができなければ、蔑まれ、ぞんざいに扱われました。大抵の妻は、これに耐えられなく、夫にそばめを与えたりしたのです。
 この夫婦にとって、世の方法を取ろうとすれば、側女を迎えて、子を産ませるという方法もありました。しかし、この夫婦は、そんなことはしませんでした。神様が与えてくれなければどうすることもできない、という姿勢で人生を過ごしていました。世の人々から見れば、あまりにも融通の聞かない愚かな姿に見えたことでしょう。でも神様は、このような夫婦を尊く用いようとされたのです。そして、その妻に御使いを遣わし、「あなたはみごもり、男の子を産む」と驚くべき知らせを伝えさせたのです。士師を産む夫婦とさせたのです。不思議な選びです。
 この夫婦が世的な方法で息子を得ようとしなかったのは、ただひたすら神様に望みを置いていたためです。苦しい状況に置かれれば置かれるほど、神様に拠り頼み、御言葉のつかんだからです。そこに、また神様の御心がありました。私たちもそうでしょう。時々私たちに問題が起こり、望みも持てなくて、辛くて憂うつになる時があります。でも、そのような時こそ、神様が私たちを尊く用いようとして、準備させておられる時なのです。
 主の御使いがマノアの妻に、「あなたは不妊の女で、子どもを産まなかった」とわざわざ言っているように、そのようにして準備させたのです。他の人々が間違った世の方法に走って行く時に、この二人は信仰によって備えていたからです。世間的な望みは持てず、世的に走る人と比べれば何もない、惨めにさえ見えるかもしれません。苦しくて、辛い境遇でした。しかし、神様の御言葉だけをつかんでいたのです。
 肉の自分が生きていると、神様がご計画をなさる時に躓きとなります。自分の思い、自分の考え、自分のプライド、自分の方法が生きていて、神様の御心と衝突するのです。私たちは、古い自分に死んで、イエス様に主権を明け渡すことが必要です。ローマ14:7〜8,ガラテヤ2:20。

U−子どもに必要な教育−4〜5
 主の御使いは、マノアの妻に、これから生まれて来る子どもをどう育てなければならないか、教えています。4〜5節。ナジル人とは、「区別された、ささげられた」という意味を持っています。ナジル人とは、誓いによってナジル人となります。神様に感謝してお願いして、自分やこどもをナジル人として神様にささげます。ささげられた期間は、自分は自分のものではなくて、神様のものとなります。自分も自分自身を勝手にできないし、父母も思い通りにすることはできません。民数記6:2〜5。
 ナジル人の規定のうち三つ言われています。一つは、「絶対に酒を飲んではならない」ということです。ぶどう酒も強い酒も飲むなと命じています。そして、「頭にかみそりを当ててはならない」ということです。髪の毛を切ってはならないということです。長い髪の毛が神様に所属していることをあらわしていたのです。それから、「汚れた物をいっさい食べてはならない」ということです。
 酒を飲まないということは、御霊の人となるためです。ナジル人は、御霊による奉仕をするために、いつでも御霊が臨むことができるように準備して置かなければなりません。ところで、当時の酒は、酒というより飲料水に近いものでした。水質が悪いので発酵したブドウの汁を飲料水としていたのです。ただ、それを習慣的に飲み続ければ、中毒になったのです。神の人は、いつも御霊が自分に臨まれて、自分を用いることができる状態にしなければならないためでした。私たちも、様々なものが習慣化され、中毒になっているかもしれません。私たちが神様に用いられようとするなら、他の物で満たすのでなく、御霊に満たされなければなりません。エペソ5:18。主の御霊の内住する私たちは、御霊に満たされ続けることが大切です。そうして、聖化の道を歩み、神様に用いられて行くのです。
 ここで見逃してはならないことは、マノアの妻が妊娠する時から、彼女自身がお酒を飲んだり、汚れた物を食べたりしてはならないと言っていることです。その生まれて来る子がナジル人になるためには、妊娠中その母もナジル人のようにしなければならないと言っているのです。それは、母が好んで飲み食いするものがそのまま胎児に吸収され、その子の好む物になるからです。今日でも、酒が胎児の中枢神経に影響を与えることや、胎児性アルコール症候群の危険が言われています。子どもを宿す者に大切なことを教えています。旧約聖書版胎教というところでしょうか。

V−マノアの熱心−8〜25 二度目の御使い来訪
 マノアの妻は、御使いから聞いた知らせを、夫であるマノアに大急ぎで伝えます。6~7節。彼女は、伝えてくれた方について、その語られた内容についてしっかり夫に伝えました。二人の心がつながっていることを思わせます。話を聞いたマノアの反応に注目します。彼は、疑ったり、聞き流したりせず、すぐに懸命に祈りました。8節。マノアは、確認するために、もう一度使いを送ってくれるように頼み、「生まれて来る子に、何をすればよいか、教えてください」と願っています。大変信仰的な、理性的な人です。自分も聞かなければならないと考えました。生まれて来る子どもをナジル人として育てるならば、夫である自分も大いに関わりがあるからです。エペソ6:4。
 私たちは、様々なことについて、悩み、揺れ動きます。ですから、このマノアのように熱心に祈りたいのです。「主よ。どのようにすればよいのか教えてください」と祈るならば、神様に応えて下さいます。神様は、マノアの真剣な熱心な祈りに応えてくださり、再び御使いを送りました。9〜10節。今度も御使いはマノアの妻にあらわれたので、マノアの妻は急いで走って行き、夫にその方があらわれたことを告げ、連れて来ます。マノアはやはり理性的な人です。最初に御使いに尋ねたのは、前回妻にあらわれたのはあなたですか、ということです。11節。確認してから、御使いとマノアの会話が始まります。
 やはり、マノアが聞きたかったのは、「子どもをどのように育てればいいですか」ということです。12節。マノアにとって、ここが肝心なところです。御使いも、妻に言ったのと同じことを夫にも教えました。13〜14節。これで安心です。妻と共に育てることができます。彼は繰り返し「おことばは実現するでしょう」「おことばが実現しましたら」と言い、御言葉の実現を願い、自分もそれに聞き従う意志をあらわしています。これが、神様のご計画に用いられる備えとなります。私たちも、この信仰の姿勢を持ちたいのです。Tサムエル15:22,イザヤ50:10。
 ここで、マノアは御使いに名前を聞いていますが、ここに神様のご計画と御心が示されています。17〜18節。「わたしの名は不思議」と答えていますが、原文では「それは不思議です」とだけで、名前が不思議というより、主の正体が不思議ということです。「神様をあなたの頭で理解することはできない」という意味です。創造主なる神様のことを被造物である人間は理解できないということです。特に神様が行われることは、しばしば私たちの思いを越えるものだからです。エレミヤ29:11, エペソ3:19〜20。
 確かに、私たちには神様のご計画が分からなくても、「それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのもの」です。イエス様の救いに与った私たちに、神様は「私たちの願うところ、思うところのすべてを越えて豊かに施」されるのです。何と、「不思議」とは、イエス様の別名です。イザヤ9:6。救い主の予言において、その名は「不思議な助言者」と告げています。私たちは、不思議な助言者であるイエス様に祈り求め、聞くことができるのです。
 事実、この時礼拝をささげるマノアと妻に対して、主は不思議なことを行われました。19〜20節。ですから、私たちはこの不思議なお方を礼拝し、御言葉に聞き、不思議な導きをキャッチしなければなりません。「何をすればよいか教えてください」と導きを熱心に求め祈りたいのです。イエス様の十字架の犠牲による救いそのものが、とても不思議なことです。詩篇118:22〜25。まったく希望のないような夫婦を用いて神の民を救おうとされる神様。まったく先が分からないとしても、希望が見えないとしても、不思議な導きをしてくださる主に信頼します。エレミヤ29:11。



士師
13:1 イスラエル人はまた、【主】の目の前に悪を行ったので、【主】は四十年間、彼らをペリシテ人の手に渡された。
13:2 さて、ダン人の氏族で、その名をマノアというツォルアの出のひとりの人がいた。彼の妻は不妊の女で、子どもを産んだことがなかった。
13:3 【主】の使いがその女に現れて、彼女に言った。「見よ。あなたは不妊の女で、子どもを産まなかったが、あなたはみごもり、男の子を産む。
13:4 今、気をつけなさい。ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。汚れた物をいっさい食べてはならない。
13:5 見よ。あなたはみごもっていて、男の子を産もうとしている。その子の頭にかみそりを当ててはならない。その子は胎内にいるときから神へのナジル人であるからだ。彼はイスラエルをペリシテ人の手から救い始める。」
13:6 その女は夫のところに行き、次のように言った。「神の人が私のところに来られました。その姿は神の使いの姿のようで、とても恐ろしゅうございました。私はその方がどちらから来られたか伺いませんでした。その方も私に名をお告げになりませんでした。
13:7 けれども、その方は私に言われました。『見よ。あなたはみごもっていて、男の子を産もうとしている。今、ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。汚れた物をいっさい食べてはならない。その子は胎内にいるときから死ぬ日まで、神へのナジル人であるからだ。』」
13:8 そこで、マノアは【主】に願って言った。「ああ、主よ。どうぞ、あなたが遣わされたあの神の人をまた、私たちのところに来させてください。私たちが、生まれて来る子に、何をすればよいか、教えてください。」
13:9 神は、マノアの声を聞き入れられたので、神の使いが再びこの女のところに来た。彼女は、畑にすわっており、夫マノアは彼女といっしょにいなかった。
13:10 それで、この女は急いで走って行き、夫に告げて言った。「早く。あの日、私のところに来られたあの方が、また私に現れました。」
13:11 マノアは立ち上がって妻のあとについて行き、その方のところに行って尋ねた。「この女にお話しになった方はあなたなのですか。」その方は言った。「わたしだ。」
13:12 マノアは言った。「今、あなたのおことばは実現するでしょう。その子のための定めとならわしはどのようにすべきでしょうか。」
13:13 すると、【主】の使いはマノアに言った。「わたしがこの女に言ったことすべてに気をつけなければならない。
13:14 ぶどうの木からできる物はいっさい食べてはならない。ぶどう酒や、強い酒も飲んではならない。汚れた物はいっさい食べてはならない。わたしが彼女に命令したことはみな、守らなければならない。」
13:15 マノアは【主】の使いに言った。「私たちにあなたをお引き止めできますでしょうか。あなたのために子やぎを料理したいのですが。」
13:16 すると、【主】の使いはマノアに言った。「たとい、あなたがわたしを引き止めても、わたしはあなたの食物は食べない。もし全焼のいけにえをささげたいなら、それは【主】にささげなさい。」マノアはその方が【主】の使いであることを知らなかったのである。
13:17 そこで、マノアは【主】の使いに言った。「お名まえは何とおっしゃるのですか。あなたのおことばが実現しましたら、私たちは、あなたをほめたたえたいのです。」
13:18 【主】の使いは彼に言った。「なぜ、あなたはそれを聞こうとするのか。わたしの名は不思議という。」
13:19 そこでマノアは、子やぎと穀物のささげ物を取り、それを岩の上で【主】にささげた。主はマノアとその妻が見ているところで、不思議なことをされた。
13:20 炎が祭壇から天に向かって上ったとき、マノアとその妻の見ているところで、【主】の使いは祭壇の炎の中を上って行った。彼らは地にひれ伏した。
13:21 ──【主】の使いは再びマノアとその妻に現れなかった──そのとき、マノアは、この方が【主】の使いであったのを知った。
13:22 それで、マノアは妻に言った。「私たちは神を見たので、必ず死ぬだろう。」
13:23 妻は彼に言った。「もし私たちを殺そうと思われたのなら、【主】は私たちの手から、全焼のいけにえと穀物のささげ物をお受けにならなかったでしょう。これらのことをみな、私たちにお示しにならなかったでしょうし、いましがた、こうしたことを私たちにお告げにならなかったでしょう。」
13:24 その後、この女は男の子を産み、その名をサムソンと呼んだ。その子は大きくなり、【主】は彼を祝福された。
13:25 そして、【主】の霊は、ツォルアとエシュタオルとの間のマハネ・ダンで彼を揺り動かし始めた。



ガラテヤ2:20 私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が肉にあって生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです。

エペソ5:18 また、酒に酔ってはいけません。そこには放蕩があるからです。御霊に満たされなさい。

エペソ6:4 父たちよ。あなたがたも、子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい。

エレミヤ29:11 わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。──【主】の御告げ──それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。

エペソ3:19 人知をはるかに越えたキリストの愛を知ることができますように。こうして、神ご自身の満ち満ちたさまにまで、あなたがたが満たされますように。
3:20 どうか、私たちのうちに働く力によって、私たちの願うところ、思うところのすべてを越えて豊かに施すことのできる方に、

イザヤ9:6 ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。

詩篇118:22 家を建てる者たちの捨てた石。それが礎の石になった。
118:23 これは【主】のなさったことだ。私たちの目には不思議なことである。
118:24 これは、【主】が設けられた日である。この日を楽しみ喜ぼう。
118:25 ああ、【主】よ。どうぞ救ってください。ああ、【主】よ。どうぞ栄えさせてください。

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