2018年9月16日「神が結び合わせたもの」マルコ10:1〜12

序−人々は、よくも悪くも、社会の流行や人々の動向に左右され、影響を受けて生活しています。イエス様の時代も、現代のように離婚の問題が取り沙汰されています。人々は、都合のよいように離婚していたのですが、イエス様は、離婚の話から、結婚の大事さを教え、どう結婚生活を構築し、夫婦関係を築いて行くかを教えてくださいました。自分のための学びとするだけでなく、次の世代にも伝えるべき大事なことです。

T−頑ななので律法が与えられた−1〜5,11〜12
 例のごとく、パリサイ人のイエス様に罠を掛ける質問がきっかけとなっています。2節。夫が妻を離別することは許されるかどうかと質問して来ました。ためそうとして、イエス様を罠に掛けるためでした。なぜ、罠となるのでしょうか。今来ているヨルダンの向こうペレヤ地方は、あのバプテスマのヨハネを殺したヘロデ・アンテパスの領地です。1節。
 すでにマルコ6章で学んだように、領主ヘロデとその妻ヘロデヤは、不倫をして、それぞれ離婚して一緒になった二人でした。異母弟からその妻を奪ったのです。それを責めたバプテスマのヨハネをヘロデは殺しました。イエス様が、離別は赦されないと答えれば、ヨハネと同じ目に会う恐れがありました。また、当時律法学者には、ヒレル学派とシャンマイ学派があって、ヒレル学派は離婚について寛容な立場であって、シャンマイ学派は離婚について厳格な立場でした。彼らの質問は、イエス様を政治的論争の中に追い込むためのものでした。
 では、イエス様の返答を見てみましょう。3節。イエス様は、しばしば質問に対して質問で返すということをなさいました。そのようなレトリックは、質問者の意図をあらわさせます。パリサイ人は、我が意を得たりとばかりに、「モーセだって、離婚状を書いて妻を離別することを許しました」と喜んで答えるのです。4節。これは、申命記24:1の引用です。
 しかし、イエス様は、それに対して「モーセは、あなたがたの心がかたくななので、この命令を書いたのです」と言われました。5節。律法は、人が頑ななので、人が罪を犯すのを前提として設けられたものです。ドイツの法学者イェリネクの「法は最小限の道徳である」という言葉は、真実です。ドストエフスキーも「カラマゾフの兄弟」の登場人物に、「もし神がいなければ、すべてが赦されると言わしめています。
 離婚証書を書かせたのは、離婚を乱発する社会的風潮に歯止めをかける社会的措置であり、女性の最低限の権利を守る方法でした。当時の女性は権利も力もなく、社会で生きて行くのは、大変でした。社会的な偏見や誤解を防ぐためにも、離婚証書が必要でした。最終的には、モーセが命じた離婚証書は、離婚を正当化したものではなく、女性の人権を保護するためのものだったのです。
 ところが、罪に陥った人間は、離婚を抑制しようとして設けられた律法をもって、離婚を可能にする法に変えてしまいました。都合の良いように用いるのが、罪の姿です。しかし、イエス様の弟子は、聖霊の力で罪を克服していく人です。私は罪人だけれども、聖霊によって新しく造り変えられた。私は、新しい人に生きて行くと言わなければなりません。

U−ふたりではなく、ひとりなのです−6〜9
 考えてみましょう。同じ家に住んで、一緒に食事をして、子どもを育てて生きて来た二人が分かれてしまう。こんな悲劇があるでしょうか。そこで、イエス様は、離婚よりも、結婚の意義を教えてくださいました。6〜9節。神の民が立つべき、神の国の基準を創世記1:27,2:24から引用されました。ここが崩れていたから、不和や争いが生じました。この原理が二人の共通土台になっていなかったから、不幸な状態になってしまったのです。
 夫婦が結婚して家庭を持てば自然に幸せになることではありません。時には意見の衝突が起こるでしょう。自分とはまったく違う考えや思いを持つ相手に失望もするでしょう。簡単に語調が強くなり、心に傷をつけるでしょう。暴力まで出たら、もう続けられません。夫婦関係は、築いて行かなければなりません。結婚の意義を学びましょう。
まず、「人はその父と母を離れ」ということです。7節。結婚する前は両親を頼って、両親の助けを受けて生きて来ました。しかし、結婚すれば、自分たちの力で人生を乗り越えていこうとする決断し、父と母を離れて、新しい家庭を築きます。両親から心理的、経済的な独立をするのです。ピューリタン、清教徒の伝統の一つは、遺産を子供たちに残さないことだそうです。遺産を子供たちに残すよりも、社会や学校、教会に還元することが重要な伝統だったそうです。新しい夫婦が神様を頼って、信仰で家庭を築くように励ますことが親の助けでした。遺産相続でもめる家族が社会で問題となっている現代社会への教訓となりますね。
 次に、「ふたりは一体となり、ふたりではなく、ひとり」ということです。8節。「一体となる」という言葉は、パピルスを接着剤のようなもので付けることを意味します。一枚の紙のようにされたのをはがそうとすれば、破れてしまいます。二人が一体となるというのは、そのように破れることなく、その間に誰も入れないということです。これが、結婚です。配偶者に関心を持たず、仕事や子どもに執着する夫や妻がいます。大変危険なことです。最初に関心を持たなければならないのは、妻であり、夫です。優先順位が崩れると、相手の心が不安定になり、愛の情緒が枯れ始めます。
 そして、イエス様は、「神が結び合わせたものを、人が分けることができない」と宣言されました。夫婦は、神様が合わせられたものです。夫婦はすでに二人でなく、一人なのです。結婚の起源が創造者である神様にあるので、被造物である人間がこれを破壊することはできないのです。これが、聖書の教える神の国の基準です。今日の箇所の核心は、ここにあります。夫婦関係難しいですか。葛藤がありますか。「神が結び合わせたもの」という原理から、取り組んで行きます。
 結婚したら、即幸せになれるのですか。人生の問題が解決されるのですか。結婚後の取り組みと夫婦関係の構築が大事です。私たちが幸いな結婚生活を送るためには、神の御言葉に基づいて行かなければなりません。夫婦で静かな時間を持って、互いに尋ねてみてください。「相手に何をしてもらう時、一番幸せですか」「相手のどのような点を変えたいと願いますか」ということです。

V−主の十字架によって新しくされた者−エペソ5:22〜25
 イエス様を信じて救われた者は、聖霊によって新しい人となっています。キリストによって、神の国の原理で、夫婦を築くことができます。エペソ5:22〜25。夫婦の構築には、イエス・キリストが必要です。主に従うように、夫に従う。キリストがご自身をささげられたように、妻を愛するのです。罪深い自我が生きている時、夫婦はお互いに自分の利益のために相手を利用しようとします。自分が「助け手」になるではなく、相手に自分の「願い手」になることを要求します。創世記2:18。罪に囚われていく時、夫婦はお互いを支配して、自分の意のままにしようとします。
 しかし、イエス様の弟子となって、新しい人に造り変えられた人は、相手のために仕えることを優先します。互いに支配することを争うのではなく、お互いに仕えようとするのです。自分の我を主張するのでなく、相手の心を思いやります。相手を従わせることが目標ではなく、互いに愛し合うことが目標になります。このようになれば、どんなに幸いな夫婦、豊かな人生となることでしょうか。愛は多くの罪をおおうからです。Tペテロ4:8。
 そうならないのは、夫婦がともに主の弟子に育つことができないためです。夫婦の片方だけ主の弟子になって行く時、御霊の人に変えられて行く配偶者に感動して、もう片方も悔い改めて、イエス様を信じる場合もありますが、そうでない場合は、頻繁に問題が起こります。苦しいことも辛い時もあります。しかし、自分が新しい人として信仰で仕えて行くならば、相手が救われ、変えられて行く望みがあります。
 ですから、夫婦が一緒に信仰生活をすることが最も重要であり、一緒に主の弟子として育つことが大切です。それが、夫婦関係を改善させ、向上させる最良の方法だからです。夫婦が同居人ではなく、物理的に、精神的に一つになる道がまさに、夫婦がともに主の弟子になって、霊的に成長して行くことです。夫婦関係は不信ではなく、信頼に基づくものです。夫婦関係は契約によってではなく、お互いへの愛情によって動かされるものです。
 現代文化の影響を受けて、夫婦が「自分の必要」を最優先にしようとするなら、夫婦の関係はより深刻な脅威を受けるでしょう。決められたルールに基づいて動くのではなく、自発的に相手の必要に仕えようとすることが、夫婦を幸せにします。ですから、二人がともにイエス様の弟子として成長する方法はないか、神様の導きを求めて祈ってみてください。素晴らしい主の弟子夫婦として生きることを夢に描いて、まず自分自身が主の弟子と育ってください。それが希望を照らすことになります。
 離婚の危機を克服して、今日まで来た人は、感謝してください。あなたの配偶者のおかげであり、神の守りと恵みがあったからです。これから結婚しようとする人は、結婚が祝福になるために、今主の弟子となって育つことを望んでください。結婚のための最も重要かつ必要な準備は、イエス様の弟子として成長することです。Uペテロ3:18。



マルコ10:1 イエスは、そこを立って、ユダヤ地方とヨルダンの向こうに行かれた。すると、群衆がまたもみもとに集まって来たので、またいつものように彼らを教えられた。
10:2 すると、パリサイ人たちがみもとにやって来て、夫が妻を離別することは許されるかどうかと質問した。イエスをためそうとしたのである。
10:3 イエスは答えて言われた。「モーセはあなたがたに、何と命じていますか。」
10:4 彼らは言った。「モーセは、離婚状を書いて妻を離別することを許しました。」
10:5 イエスは言われた。「モーセは、あなたがたの心がかたくななので、この命令をあなたがたに書いたのです。
10:6 しかし、創造の初めから、神は、人を男と女に造られたのです。
10:7 それゆえ、人はその父と母を離れ、
10:8 ふたりは一体となるのです。それで、もはやふたりではなく、ひとりなのです。
10:9 こういうわけで、人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません。」
10:10 家に戻った弟子たちが、この問題についてイエスに尋ねた。
10:11 そこで、イエスは彼らに言われた。「だれでも、妻を離別して別の女を妻にするなら、前の妻に対して姦淫を犯すのです。
10:12 妻も、夫を離別して別の男にとつぐなら、姦淫を犯しているのです。」



エペソ5:22 妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。
5:23 なぜなら、キリストは教会のかしらであって、ご自身がそのからだの救い主であられるように、夫は妻のかしらであるからです。
5:24 教会がキリストに従うように、妻も、すべてのことにおいて、夫に従うべきです。
5:25 夫たちよ。キリストが教会を愛し、教会のためにご自身をささげられたように、あなたがたも、自分の妻を愛しなさい。

創世記2:18 神である【主】は仰せられた。「人が、ひとりでいるのは良くない。わたしは彼のために、彼にふさわしい助け手を造ろう。」

Tペテロ4:8 何よりもまず、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は多くの罪をおおうからです。

Tヨハネ4:11 愛する者たち。神がこれほどまでに私たちを愛してくださったのなら、私たちもまた互いに愛し合うべきです。

Uペテロ3:18 私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。このキリストに、栄光が、今も永遠の日に至るまでもありますように。アーメン。

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