2019年6月9日「聖霊が導く交わり」使徒2:1〜4

序−社会で起きている事件や私たちの家庭や職場や学校で起きている問題の原因の1つに、コミュニケーションの混乱や不足があるようです。コミュニケーションが難しい、ことばが通じないとは、よく聞く話です。どうして、そうなるのでしょう。どうしたらいいのでしょうか。ペンテコステ(聖霊降臨)の箇所から学びましょう。

T−バベル、言葉が通じない−1〜4, 創世記11:1〜9
 イエス様は、十字架にかかられる前に、弟子たちに「もうひとりの助け主、聖霊を送る」と約束しておられました。ヨハネ14:16〜17。聖霊は、真理の御霊であり、イエス様の霊です。ヨハネ15:26。もうひとりの助け主、すなわちイエス様が弟子たちと一緒におられたように、聖霊、御霊なる神がイエス様を信じる人々とともにいてくださるという約束です。そして、イエス様に言われたように、集まって、祈っていた弟子たちに、聖霊が臨まれました。1〜4節,使徒1:4〜5,8。
 弟子たちに主の御霊が臨み、「他国のことばで話しだした」というですが、外国語が話せるようになったというより、コミュニケーション、意思疎通ができるようになったということが重要です。今日の箇所のキーワードです。現代は、コミュニケーションが重要な時代です。コミュニケーションが難しく、意思疎通がない社会だからです。私たちは、周りの人々と意思が通じているでしょうか。
 聖書の中に、ことばのコミュニケーションにおいて、まったく対照的な内容の個所があります。有名な「バベルの塔」事件です。創世記11:1〜4。「石の代わりにレンガ、粘土の代わりに瀝青を用いた」というのは、文明化をあらわしています。「天に届く塔を建てて、名をあげよう」というのは、文明を誇った人類が神のようになろうとして高慢をあらわしています。ここに、人間の罪があります。禁断の木の実を食べたのも、同じことでした。創世記3:4〜6。技術文明を駆使してバベルの塔を築いたように、現代も技術文明の粋を集めて現代版バベルの塔を建てています。強大な建造物や科学技術発展で名をあげ、高慢になり、様々な罪を生み出しています。
 私たちもバベルの塔を築いた人々のようにすることができます。自分の栄光のために働くことができます。勉強して、働くのは、権力と財を手にして幸いを得るためですか。自分の欲のまま生きるためですか。もっと根本的な人の幸いを考え、生きなければなりません。そうでないと、いつかこんなはずではなかったということになるでしょう。
 自分を造られた神にそむいて、自分が神になったかのように、自分中心に生きることが、罪の始まりであると聖書は教えています。神様から与えられた知恵や能力をいくらでも文化文明に使うことができますが、神の御心から外れたら危険だということです。神の御心に沿って用いるなら、どれほど豊かに用いられ、祝福されることでしょうか。人は、神によって命を与えられ、神からの使命を果たし、神の栄光をあらわすことで幸いと喜び、平安を与えられます。小教理問答第1問。
 罪の結果だったバベルの塔は、どうなりましたか。創世記11:7〜9。塔を建てるのをやめさせるために、神様は、人々のことばを通じないようにされました。人々のことばが混乱しました。バベルとは、混乱ということばから来ています。今も、社会や人間関係は、混乱し、人々の間でことばは同じでも、通じていません。コミュニケーションが難しく、意思疎通がなくなっています。様々な問題や事件が起こっています。
 神に対する高慢がバベルの混乱を招いたように、今日も人々の高慢が社会の混乱や家庭の崩壊を生み出しています。いくら言っても通じないと夫婦が訴えています。親子の間に会話がないと嘆いています。職場でも学校でも、コミュニケーションが難しいと言われています。コミュニケーションがなく、ことばが通じないために、社会では様々な事件や問題が発生しています。関係者の意思疎通がないために、いじめやパワハラ、虐待がなおざりにされています。

U−御霊が話させてくださるとおりに−4, 5〜11
 イエス様が救い主として来られて、信じた人々に主の御霊が臨むようになりました。4節で「他国のことばで話しだした」というのですが、クリスチャンになれば、外国語が話せるようになるの、ということではありません。バベルの塔の場合と反対のことが起こっています。人々が「他国のことばで話しだした」というのは、話が通じるようになった、コミュニケーション、意思疎通ができるようになったということです。5〜11節。「他国のことばで話した」というよりも、「御霊が話させてくださる」ということに目をとめましょう。
 バベルの塔事件は、罪の結果、ことばが通じなくなり、混乱しましたが、ペンテコステの聖霊の働きは、ことばが通じるようにし、意思疎通ができるようになりました。人々の高慢と神への不従順は、人々の心を分裂させ、ことばを通じなくさせましたが、主の御霊は、ことばを通じるようにし、人々の心を1つにして、主の栄光のために働く者としてくださいました。私たちも、聖霊の満たしを受けて、1つとなって主の教会を建て上げ、社会で主の栄光をあらわして行くのです。
 聖霊に満たされることが必要です。新約の時代は、私たちの罪のために十字架にかかってくださったイエス様を救い主と信じる者には、約束どおり聖霊が臨み、内住してくださいます。ヨハネ14:16〜17。ただ、それに気付かないでいるならば、御霊はおられないと同じです。聖霊が私たちに臨むように、御霊の満たしを求めなければなりません。エペソ5:18。聖霊が私たちに臨めば、高慢が去り、謙遜になります。聖霊が家庭や共同体に臨めば、分裂が去り、1つとなる働きが始まります。聖霊が私たちの働きに臨めば、混乱した社会が収まり平安になることに寄与するようになり、神の栄光のために用いられるようになります。
 この時、弟子たちは、祈って聖霊の臨まれるのを待っていました。ですから、今の私たちも、御霊の満たしと聖霊の働きを祈り求めなければなりません。周りにことばが通じない人がいませんか。和解しなければならない人がいませんか。混乱したままの関係がありませんか。難しくても祈るのです。コミュニケーションができ、意思疎通がなることは、主の御心であり、イエス様の約束です。信じて、祈り、主の御心に聞き従うことです。「御霊が話させてくださるとおりに」とあるように、祈って聞いて行くなら、御霊が働きを知らせてくださり、主の深い御旨を私たちに教えてくださいます。ヨハネ16:13。

V−コミュニケーション、意思疎通−6,8, 37〜38,41
 御霊によって、ことばが通じて、意思疎通がなるようになると、三つの面でコミュニケーションが行われるようになります。一つ目は、神様とのコミュニケーションです。私たちは神によって造られ、命を与えられた存在なのに、罪のために神様から離れ、神様との交わりがなくなりました。しかし、イエス様が私たちのために犠牲となられて、神様から赦しと天国への命を受けられるようにしてくださいました。そして、神様との隔ての壁を取り除き、神様との交わり、コミュニケーションに導いてくださいました。エペソ2:13〜16。
 神様とのコミュニケーションを妨げる障害物は何でしょう。罪です。私たちの罪が、神様との仕切りとなっているのです。イザヤ59:2。神様と交わりを持っておられますか。自分の思いが中心で、自分が必要とする時だけ神様を思い出すことはないですか。そうしていると、本当に神様が必要な時、自分の思いに落ち込んだままになってしまいます。毎日イエス様と交わり、御言葉の通り生きようとしてみてください。人生が変わります。生活や働きが祝福されます。
 二つ目は、聖徒たちとのコミュニケーションです。弟子たちに聖霊が臨んだ時、弟子たちの間に、互いの言っていることを聞き分ける奇跡を与えてくださいました。6,8節。なぜ、ことばが通じるという奇跡を起こしてくださったのでしょう。始まったばかりの初代教会にとって、何が必要かを教えてくださっておられます。人々の間の無理解や葛藤を克服して、信仰で1つとなるためです。
 ペンテコステ前の弟子たちの姿をすでにマルコの福音書で学びました。それぞれのおいたちが違います。仕事や生活や追及するものが違いました。弟子たちの中に、ローマ帝国の手先である取税人、民族独立活動家である熱心党員がいました。まったく背景の違う弟子たちが、聖霊降臨後は、1つとなって、驚くべき働きをするようになります。信仰のコミュニケーションによる共同体が、私たちが目指す教会の姿です。セルグループは、単なる集会ではなくて、聖霊の導くコミュニケーションの場です。
 そして、三つ目が、世の人々のコミュニケーションです。ペンテコステの現場にいた人々が福音を聞いて、信じました。37〜38,41節。そこから、世界へ福音が広がって行きました。救われた者たちは、世にあって人々の心に通じる生き方をして行きます。家族とことばが通じていますか。学校や職場の人々と良いコミュニケーションが持てていますか。人々の心に通じて、仕える人となって、助けとなっていますか。御霊の満たしを求めてください。新しく造られた者として意識してください。Uコリント5:17。



使徒2:1 五旬節の日になって、みなが一つ所に集まっていた。
2:2 すると突然、天から、激しい風が吹いて来るような響きが起こり、彼らのいた家全体に響き渡った。
2:3 また、炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった。
2:4 すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。



創世記11:7 さあ、降りて行って、そこでの彼らのことばを混乱させ、彼らが互いにことばが通じないようにしよう。」
11:8 こうして【主】は人々を、そこから地の全面に散らされたので、彼らはその町を建てるのをやめた。
11:9 それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれた。【主】が全地のことばをそこで混乱させたから、すなわち、【主】が人々をそこから地の全面に散らしたからである。

ヨハネ16:13 しかし、その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導き入れます。御霊は自分から語るのではなく、聞くままを話し、また、やがて起ころうとしていることをあなたがたに示すからです。

イザヤ59:2 あなたがたの咎が、あなたがたと、あなたがたの神との仕切りとなり、あなたがたの罪が御顔を隠させ、聞いてくださらないようにしたのだ。

Uコリント5:17 だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。

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