2019年7月14日「私たちを呼ぶ主の声」箴言8:1〜36

序−世の知恵は、社会の中で長い歴史と伝統の中で作られたものであり、個人的には、学びや経験によって蓄積された生活の方法ということができます。ですから、世の知恵とは、人生をどのように生きるべきか、人生は何なのかについての認識を示したものでした。しかし、箴言の知恵は、信仰につながっており、神を恐れ、神様の御心を聞き、御言葉に従って生きるようにさせるものです。今日の箇所は、そのことをもっと強く認識させてくれるところです。

T−知恵の呼びかけ−1〜4
 箴言をいわゆる格言集のように思っているでしょうか。それでは、都合良く扱われてしまうでしょう。真実に箴言の知恵によって生きて行くことはできません。8章は、知恵が誰であるかを教えています。1〜4節。何と、知恵は、人のように呼びかけているというのです。「知恵は呼ばわらないだろうか」と言うのは、呼んでいることを強調している表現です。知恵が、道のかたわらや道の四つかどや町の入口で人々に声をかけるというのです。「わたしはあなたがたに呼ばわり」と、つまり私たちに呼ばわるというのです。なぜ、知恵がそのように私たちを呼んでいるのでしょうか。
 神の真理の言葉をロゴスと言います。ロゴスは、永遠の真理であるイエス・キリストを指しています。ヨハネ1:1。そして、言葉は肉体をとって世に来られ、救い主となられました。ヨハネ1:14,12。驚くべきことです。ですから、箴言を通して神の知恵が与えられたのは、単に世を賢く生きるためだけではありません。知恵の言葉を超えて、箴言は真理の言葉であり、命の言葉であって、聖徒たちを神との交わりへ導き、信仰に生きるようにさせるものなのです。ヨハネ14:6。知恵とはイエス様のことであり、箴言の知恵の中には、イエス・キリストの愛と父なる神の驚くべき救いの計画と働きが入っています。
 「知恵は呼ばわらないだろうか。英知はその声をあげないだろうか」と、今日もイエス様が、私たちを知恵の言葉で呼んでおられることを信じてください。ヨハネ10:3。私たちは、すべての生活の現場で、イエス・キリストの声を聞く必要があります。羊飼いの声を聞かなければ、羊である私たちは人生に迷ってしまいます。私たちは、イエス様の声を家庭や職場や学校で聞いているでしょうか。イエス様の御声を聞くためには、聞こえて来る雑音を退け、主の御声を聞き分けなければなりません。ヨハネ10:4。
   イエス様を救い主キリスト、神の子として知ることも、神から来た知恵です。ペテロが「あなたは、生ける神の御子キリストです」と告白できたのは、彼の知恵によるのではなく、神の知恵によることだと教えています。マタイ16:16〜17。この世の知恵では、イエス様を救い主と理解することができず、イエス様を十字架にかけてしまいました。Tコリント2:7〜8。

U−知恵の与える恵み−5〜21
 知恵は、今日私たちが心を留めて知恵を聞くことを望んでいます。5節では、わきまえのない者よ。分別をわきまえよ。愚かな者よ。思慮をわきまえよと呼びかけられています。私たちは、分別をわきまえ、思慮をわきまえているのでしょうか。もし私たちが自分の肉の考えや判断でやっているなら、自分がわきまえのない者、愚かな者であるのに、そのことを意識していないだけなのです。御言葉はどう言っているか考えて行動しているでしょうか。イエス様だったらどうされるだろうかということで判断しているでしょうか。あまりにも、分別をわきまえない愚かな者となっているかもしれません。
 なぜ、私たちはイエス様の御声を聞かなければならないのでしょうか。イエス様が真理だからです。6〜9節。イエス様によって、すべてのことを受け止め、考え、判断するなら、それが確かだからです。箴言の知恵を単なる世の知恵と思うなら、自分の好む所だけを参考にするでしょう。しかし、イエス様が語っておられるなら、謙遜に素直に聞き従うでしょう。知恵は、私たちが御言葉を聞いて、変化するためです。箴言の知恵は、私たちを霊的に造り変え、成長させるために語られています。私たちが意識して、箴言の知恵からイエス様の声を聞こうとするように、知恵の言葉を聞けと命じています。
 金銀真珠といった財宝やお金よりも、知恵を求めるでしょうか。知恵は、財宝やお金にまさり、どんな喜びも、これには比べられないと言います。10〜11節。知恵の実は、黄金よりも、純金よりも良く、知恵がもたらす恵みは銀よりも優れます。19節。イエス様を信じるならば、罪の奴隷となって空しく歩んでいた者を苦しみと恐れから解放して、天国へ続く命で生かしてくださる救いを受けています。どんなに素晴らしい救いでしょうか。生きる意味と価値を見出し、希望を持って生きられることの幸いを知ったらならば、御言葉の知恵を求めないでは生きられません。
 わきまえのない者よ。分別をわきまえよと呼びかけられています。この分別は、自分の考えや判断ではありません。知恵の分別です。イエス様が与えてくださる分別です。わきまえのない、愚か者ではなく、分別をわきまえる者になりたいです。私たちは、どれほど失敗をし、失態を演じたことでしょう。知恵である主は分別を住みかとし、分別そのものであり、力があります。12,14節。御言葉による分別、御霊が導いてくださる分別を身に付けたいのです。箴言の知恵を味わい、蓄え、実践しましょう。
 17節に注目しましょう。イエス様を愛して、イエス様の知恵を求めて、イエス様に会っていますか。救い主を捜し求めて、イエス様を信じて、愛するならば、何が起きますか。恵みと祝福に与り、栄光へ導かれます。自分の力や知恵で歩んでいるならば、神様の力だけ求める切実さがなく、切実でないから、以前ほど神の恵みと祝福を受けられないということになります。イエス様を愛して、捜して求めて、会いたいという切実さがありますか。本当は、イエス様を切実に求め、会わなければならないのに、求めていない、会っていないのではないですか。そうしていたら、問題や試みに会った時、空しさと不安に中に沈み込んでしまいます。

V−神の知恵であるイエス様−22〜36
 神の知恵の絶頂がイエス様であり、神の知恵はイエス様そのものです。何と、22節以下を見ると、わたしはこの世に来る前、神と共におり、神が世を創造されるときにその創造の働きに参加したと言っています。このような方は、イエス様しかおられません。22〜31節。これをイエス・キリストの先在性と言います。これを読めば、知恵の声はイエス様のことだと確認させられます。
 コロサイ1:15以下には、御子は、見えない神のかたちであり、造られたすべてのものより先に生まれた方です。御子は、万物よりも先に存在し、万物は御子にあって造られ、万物は御子にあって成り立っていると教えられています。コロサイ1:15〜17。イエス様は、すでに初めから父なる神と共にあって、聖霊様と一緒に仕事をされたことが分かります。創造の働きも、救いの働きも、父、御子、聖霊の三位一体の神が一緒にされた働きです。
 世の知恵では、イエス・キリストを知ることができません。彼らは、人間のあらゆる知恵を集めて、イエス様を十字架につけてしまいました。Tコリント2:7〜8。世の知恵は、知識と科学だけで世を解釈しようとします。世の知恵は、神様を人間の頭の中に制限しようとします。神が見えないので、神はいないと主張しますが、人のたましいも心も見えないので、ないというのでしょうか。世の知恵がイエス様を十字架につけましたが、イエス様は、復活されました。
 神の知恵を知っていたら、栄光の主を十字架につけることはしなかったでしょう。Tコリント2:8。真の知恵は、イエス様を神であり、救い主として知ることです。イエス様を栄光の主であると知ることが知恵です。イエス様と出会って、救い主と認めることは、人間の知恵ではなく、神の知恵です。私たちが救われるようにとりなす人々が救われるように、神の知恵と御霊が働きますように祈ります。
 クリスチャンは救われたその瞬間、彼の霊は天の御国で主と一緒に座るようになります。エペソ2:6。もしクリスチャンが、自分の天の御国にある高貴な特権を忘れてしまって、世のことに埋没してしまうならば、私たちの中におられる聖霊がどれほど悲しまれることでしょうか。日々イエス様に出会い、御霊とともに歩む人生になりますように願います。イエス様の声を聞いて、イエス様に出会うなら、イエス様を見出すならば、恵みをいただくことになります。34〜35節。
 毎朝起きて、まず主に会いましょう。祈りで始まり、御言葉を通して主との出会いを先にします。そして人に会います。誰と最初に会うのかということは、その日一日を決定するだけに、重要な出会いになるからです。イエス様の御声を聞いて、御言葉に聞き従う者は、神の知恵によって生きることができ、分別を与えられます。イエス様を見いだす者は、いのちを見いだし、恵みをいただくことができます。

箴言8:1 知恵は呼ばわらないだろうか。英知はその声をあげないだろうか。
8:2 これは丘の頂、道のかたわら、通り道の四つかどに立ち、
8:3 門のかたわら、町の入口、正門の入口で大声で呼ばわって言う。
8:4 「人々よ。わたしはあなたがたに呼ばわり、人の子らに声をかける。
8:5 わきまえのない者よ。分別をわきまえよ。愚かな者よ。思慮をわきまえよ。
8:6 聞け。わたしは高貴なことについて語り、わたしのくちびるは正しいことを述べよう。
8:7 わたしの口は真実を告げ、わたしのくちびるは悪を忌みきらうからだ。
8:8 わたしの言うことはみな正しい。そのうちには曲がったことやよこしまはない。
8:9 これはみな、識別する者には、正直、知識を見いだす者には、正しい。
8:10 銀を受けるよりも、わたしの懲らしめを受けよ。えり抜きの黄金よりも知識を。
8:11 知恵は真珠にまさり、どんな喜びも、これには比べられないからだ。
8:12 知恵であるわたしは分別を住みかとする。そこには知識と思慮とがある。
8:13 【主】を恐れることは悪を憎むことである。わたしは高ぶりと、おごりと、悪の道と、ねじれたことばを憎む。
8:14 摂理とすぐれた知性とはわたしのもの。わたしは分別であって、わたしには力がある。
8:15 わたしによって、王たちは治め、君主たちは正義を制定する。
8:16 わたしによって、支配者たちは支配する。高貴な人たちはすべて正義のさばきつかさ。
8:17 わたしを愛する者を、わたしは愛する。わたしを熱心に捜す者は、わたしを見つける。
8:18 富と誉れとはわたしとともにあり、尊い宝物と義もわたしとともにある。
8:19 わたしの実は黄金よりも、純金よりも良く、わたしの生み出すものはえり抜きの銀にまさる。
8:20 わたしは正義の道、公正の通り道の真ん中を歩み、
8:21 わたしを愛する者には財産を受け継がせ、彼らの財宝を満たす。
8:22 【主】は、その働きを始める前から、そのみわざの初めから、わたしを得ておられた。
8:23 大昔から、初めから、大地の始まりから、わたしは立てられた。
8:24 深淵もまだなく、水のみなぎる源もなかったとき、わたしはすでに生まれていた。
8:25 山が立てられる前に、丘より先に、わたしはすでに生まれていた。
8:26 神がまだ地も野原も、この世の最初のちりも造られなかったときに。
8:27 神が天を堅く立て、深淵の面に円を描かれたとき、わたしはそこにいた。
8:28 神が上のほうに大空を固め、深淵の源を堅く定め、
8:29 海にその境界を置き、水がその境を越えないようにし、地の基を定められたとき、
8:30 わたしは神のかたわらで、これを組み立てる者であった。わたしは毎日喜び、いつも御前で楽しみ、
8:31 神の地、この世界で楽しみ、人の子らを喜んだ。
8:32 子どもらよ。今、わたしに聞き従え。幸いなことよ。わたしの道を守る者は。
8:33 訓戒を聞いて知恵を得よ。これを無視してはならない。
8:34 幸いなことよ。日々わたしの戸口のかたわらで見張り、わたしの戸口の柱のわきで見守って、わたしの言うことを聞く人は。
8:35 なぜなら、わたしを見いだす者は、いのちを見いだし、【主】から恵みをいただくからだ。
8:36 わたしを見失う者は自分自身をそこない、わたしを憎む者はみな、死を愛する。」



ヨハネ1:1 初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。
1:12 しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。
1:14 ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。

ヨハネ14:6 イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。

ヨハネ10:3 門番は彼のために開き、羊はその声を聞き分けます。彼は自分の羊をその名で呼んで連れ出します。
10:4 彼は、自分の羊をみな引き出すと、その先頭に立って行きます。すると羊は、彼の声を知っているので、彼について行きます。

マタイ16:16 シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子キリストです。」
16:17 するとイエスは、彼に答えて言われた。「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。

Tコリント2:7 私たちの語るのは、隠された奥義としての神の知恵であって、それは、神が、私たちの栄光のために、世界の始まる前から、あらかじめ定められたものです。
2:8 この知恵を、この世の支配者たちは、だれひとりとして悟りませんでした。もし悟っていたら、栄光の主を十字架につけはしなかったでしょう。

コロサイ1:15 御子は、見えない神のかたちであり、造られたすべてのものより先に生まれた方です。
1:16 なぜなら、万物は御子にあって造られたからです。天にあるもの、地にあるもの、見えるもの、また見えないもの、王座も主権も支配も権威も、すべて御子によって造られたのです。万物は、御子によって造られ、御子のために造られたのです。
1:17 御子は、万物よりも先に存在し、万物は御子にあって成り立っています。

エペソ2:6 キリスト・イエスにおいて、ともによみがえらせ、ともに天の所にすわらせてくださいました。


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