2019年9月15日「陽気な心、打ちひしがれた魂」箴言17:1〜28

序−現代は、健康ブームです。健康のための運動、ダイエット、健康食、サプリメントなどが溢れています。しかし、肉体の痛みや病気については、治療や予防に努めるのですが、心の痛みや病は、放っておくことが多いです。今日の箇所の中心は、心の健康についてです。

T−打ちひしがれた魂−22
 22節をみましょう。「陰気な心は骨を枯らす」とありますが、原文では、陰気というイメージより、壊された、打ちひしがれたという意味です。私たちは、人生の喜びと幸いを引き裂く心の痛みを少なからず持っています。どんな痛みがありますか。赦さない心です。人の罪を赦すことができないで、心の中に憎しみや恨みを持っています。それが、心に病をもたらす大きな原因となっています。
 つまり、イエス様が言われた「心の借金を返していない」のです。マタイ18:23〜35。王から1万タラントの巨額の借金を赦してもらったしもべが、自分に百デナリの借金のあるしもべ仲間を赦さなかった例え話です。イエス様の十字架の尊い犠牲を信じた者は、値なしに罪を赦されています。ローマ3:23〜24。それなのに、人を赦さないで憎み続けるならば、たましいは、獄に閉じ込められ苦しみを受けるのです。マタイ6:14〜15。私たちの心はどうでしょうか。誰かを赦せないで、憎んでいませんか。
 赦さない心は、人のたましいに最も強力な毒素として働き、自分自身を苦しめ、人間関係に葛藤を与えます。人格を破壊し、病気を助長します。不眠症、便秘、消化不良、頭痛、免疫力の低下、癌などの病気を誘発すると言われます。ですから、赦さない心を持つとき、最も大きな被害を受けるのは、自分が憎む者ではなく、自分自身なのです。心の病は、肉体の病気よりも痛く苦しく、私たちの生活の喜びと幸福を奪います。ですから、聖書は、繰り返し「主が赦してくださったように、互いに赦し合いなさい」と命じています。コロサイ3:13,エペソ4:32。
 「陰気な心は骨を枯らす」というのですが、現代医学によると、骨の中にある骨髄で血液を作成しており、病原菌を撃退する白血球が減少すれば、病気になる可能性が強くなります。癌細胞は毎日発生しますが、癌細胞を食べるキラー細胞を始めとした免疫システムを担う細胞が白血球の中にあります。アメリカの保健所の調査によると、胃の診察を受けた患者の5人に4人は他の身体的異常はなく、恐怖、不安、憎しみ、恨み、心配、人間関係の葛藤、新しい環境への不適応などがもたらした神経性胃腸疾患だったそうです。
 現代社会は、競争が激しく、ストレスを誘発します。他人と自分を比較して感じる劣等意識と欲求不満、否定され認められない思いも心の病の原因となります。精神科医によると、人は誰でも程度の差はあるが、うつ病を経験すると言います。うつ病は、心の風邪だと言われます。風邪にかからない人はいないように、誰でもうつ病になります。ただ、問題は、風邪が長引くと万病の元になるように、うつ病も放っておくと、精神に大きなダメージを与えます。心の病気は、専門家による治療がありますが、聖書に教えられている健康的な生活のための秘訣について学びましょう。

U−陽気な心−22
 健康のためには、どのようにすればいいのでしょうか。世間では、よく食べること、よく休むこと、適度な運動をすることですが、22節では、「陽気な心は健康を良くする」すると言っています。原文では、陽気な心は、癒しに良いという意味です。現代医学で言われていることが、3000年前に真理として教えられていました。健康の最高の秘訣は、陽気な心、喜び、笑いです。心が陽気で嬉しい時に分泌されるホルモンは、体の老化を防止し、活力を与えますが、怒ったり落ち込んだり痛みを感じたときに分泌される化学物質は、健康に致命的な影響を与えるそうです。
 ある人が強直性脊髄炎という難病になり、体が固まって死んでしまうと言われました。絶望の中、本でこの御言葉を見つけて、実行しました。面白いものを見て笑い、とにかく続けて笑い、陽気な心にしました。やがて指一本が動き、体が動くようになりました。笑いが医学的効果を生じさせたのです。そして、研究を続けて、笑いの健康学の専門家になりました。
 アメリカの大学の「笑いと免疫システム」という論文によれば、人がひとしきり笑った後で、免疫系細胞が活性化し、活発に働き、一度大きく笑うと、体の筋肉の1/3以上が動き、活力を回復させ、消化を促すそうです。酸素と栄養が肌全体に及び、肌荒れ防止効果もあります。笑いと、モルヒネの200倍の効果のあるエンドルフィンが生じ、憂鬱になればアドレナリンが過剰分泌され、心臓病、高血圧、関節炎、片頭痛を起こして老化を促進します。
 アメリカの心理学者の祖といわれるウィリアム・ジェームスの有名な言葉があります。幸せについても深く研究した彼は、「私たちは幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」と言い残しています。無理してでも笑ってみなさいと勧めています。暗い顔をして、幸せな人はいません。明るい顔をしていて、不幸せな人もいません。少し天然かと思われるくらい、意識して笑って、陽気にしてみましょう。
 イエス様を信じる者は、健康になれます。人は元来喜んで幸せに生きるように造られました。ローマ14:17。いつも喜んで、神様とともに生きることができる者でした。Tテサロニケ5:16〜18。堕落する前、アダムとエバは、エデンの園で喜んで幸せな人生を生きていましたが、罪によって幸せは砕かれ、不安と恐れが訪れ、喜びが消えてしまいました。人々に不平や不満、憎しみと妬みが広がりました。
 どのようにすれば、罪を捨て、陽気で喜びのある健康な生活を送ることができるのでしょうか。心の中心にイエス様を迎え、イエス様と共に生きるのです。なぜイエス様が十字架につけられ、死なれましたか。誰のため、誰の罪のためですか。イエス様の救いとは、信じる者の罪が赦されるものです。罪によって壊れた神との関係を回復させるものです。罪のために失われた喜びと平安を回復するものです。ヨハネ15:11。

V−陽気な心で築かれた幸せな家庭−1
 陽気な心と喜びで築かれた幸せな家庭の例が記されています。1節。一切れのパンがある平和な家庭とは、足りなさや弱さがあっても陽気な心と喜びがある家庭のことです。私たちの家庭は、陽気な心と平安があるでしょうか。それとも、打ちひしがれた心と争いがある所でしょうか。人は、不幸だと思うと人のせいにし、うまく行かないと人のせいにします。家庭でも、夫のせい、妻のせい、子どものせい、親のせいと言います。問題が発生した場合、その原因を常に人のせいにする人のでなく、常にその原因をまず自分から探してみる人がいるでしょうか。自分のせいにして、自分も自分を責めるとやっていけないので、本能的に人のせいにします。
 でも、イエス様を信じた者は、新しく造り変えられる者です。Uコリント5:17。私たちは、新しく造り変えられつつある、言わば工事中の者です。ご迷惑をおかけします。工事中の私のせいです。そのように捉えてみましょう。自分も他人も工事中、夫も妻も工事中です。周りの人に迷惑をかけ、不快感を与えるのは、当然です。このことに気付いているかいないかは、大きいです。自分は完成された者、他人は工事中と考えているならば、人のせいにして、人を否定して、呟きながら生きることになります。
 私が配慮できなくて、妻はあのようにしてしまった。私が怒ったので、夫はああするしかなかった。私が否定したので、子どもがああしたのだ。そのように、問題の原因を自分自身から見つけてみましょう。陽気な心となり、平安が訪れるでしょう。自分のレベルはそのままで、配偶者のレベルアップを要求していませんか。相手を直そうとする考えを放棄した瞬間から、満足が訪れ、配偶者の良い点が目に入って来ます。喜び感謝する陽気な心が幸せです。
 相手を直そうとするのをやめるだけでなく、一歩進んで、相手の足りなさや弱さを修正しようとしないで、よくやれた部分を認め、励まそうとしてみるのです。そうすると、直そうとする時は心を固く閉ざしていた相手が、徐々に心の扉を開き始め、自信を得て幸せそうなのを見ることができます。配偶者を直そうともがいていた時には見えなかった配偶者の良さが、修正を放棄する瞬間から見えて来るようになります。
 人が人に満足することができる道は、期待して要求する生活ではなく、助け施す生活です。私の不足にもかかわらず、誰かが不足を埋めてくれて、自分が仕えることで誰かが幸せになることを見る瞬間、人の心は満たされます。それが人の姿です。配偶者を人と比較しないで、主が造られたユニークな作品として配偶者を認めます。信仰による陽気な心となります。
 陽気な心で、喜び、笑うことが、健康の秘訣です。でも、どうして喜べるのでしょう。毎日楽しくすることなんてできるのでしょうか。常識では不可能です。しかし、聖書は、私たちに「いつも喜んでいなさい」と命じています。Tテサロニケ5:16。パウロは、獄中から、「いつも主にあって喜びなさい」と書いています。ピリピ4:4。囚人の身でありながら、「主にあって」喜ぶことができました。私たちも、イエス様の救いに感謝して、陽気な心で生きることができます。ピリピ4:4。



箴言17:1 一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。
17:2 思慮のあるしもべは、恥知らずの子を治め、その兄弟たちの間にあって、資産の分け前を受け継ぐ。
17:3 銀にはるつぼ、金には炉、人の心をためすのは【主】。
17:4 悪を行う者は邪悪なくちびるに聞き入り、偽り者は人を傷つける舌に耳を傾ける。
17:5 貧しい者をあざける者は自分の造り主をそしる。人の災害を喜ぶ者は罰を免れない。
17:6 孫たちは老人の冠、子らの光栄は彼らの父である。
17:7 すぐれたことばは、しれ者にふさわしくない。偽りのくちびるは、高貴な人にはなおさらふさわしくない。
17:8 わいろは、その贈り主の目には宝石、その向かう所、どこにおいても、うまくいく。
17:9 そむきの罪をおおう者は、愛を追い求める者。同じことをくり返して言う者は、親しい友を離れさせる。
17:10 悟りのある者を一度責めることは、愚かな者を百度むち打つよりもききめがある。
17:11 ただ逆らうことだけを求める悪人には、残忍な使者が送られる。
17:12 愚かさにふけっている愚かな者に会うよりは、子を奪われた雌熊に会うほうがましだ。
17:13 善に代えて悪を返すなら、その家から悪が離れない。
17:14 争いの初めは水が吹き出すようなものだ。争いが起こらないうちに争いをやめよ。
17:15 悪者を正しいと認め、正しい者を悪いとする、この二つを、【主】は忌みきらう。
17:16 愚かな者が思慮もないのに、知恵を買おうとして、手に代金を持っている。これはいったいどうしたことか。
17:17 友はどんなときにも愛するものだ。兄弟は苦しみを分け合うために生まれる。
17:18 思慮に欠けている者はすぐ誓約をして、隣人の前で保証人となる。
17:19 そむきの罪を愛する者はけんかを愛する。自分の門を高くする者は破滅を求める。
17:20 心の曲がった者は幸いを見つけない。偽りを口にする者はわざわいに陥る。
17:21 愚かな者を生む者には悲しみがあり、しれ者の父には喜びがない。
17:22 陽気な心は健康を良くし、陰気な心は骨を枯らす。
17:23 悪者は人のふところからわいろを受け、さばきの道を曲げる。
17:24 悟りのある者はその顔を知恵に向け、愚かな者は目を地の果てに注ぐ。
17:25 愚かな子はその父の憂い、これを産んだ母の痛みである。
17:26 正しい人に罰金を科し、高貴な人をその正しさのゆえにむち打つのは、どちらもよくない。
17:27 自分のことばを控える者は知識に富む者。心の冷静な人は英知のある者。
17:28 愚か者でも、黙っていれば、知恵のある者と思われ、そのくちびるを閉じていれば、悟りのある者と思われる。



ローマ3:23 すべての人は、罪を犯したので、神からの栄誉を受けることができず、
3:24 ただ、神の恵みにより、キリスト・イエスによる贖いのゆえに、価なしに義と認められるのです。

マタイ6:14 もし人の罪を赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦してくださいます。
6:15 しかし、人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの罪をお赦しになりません。

コロサイ3:13 互いに忍び合い、だれかがほかの人に不満を抱くことがあっても、互いに赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたもそうしなさい。
3:14 そして、これらすべての上に、愛を着けなさい。愛は結びの帯として完全なものです。

Tテサロニケ5:16 いつも喜んでいなさい。
5:17 絶えず祈りなさい。
5:18 すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。

ヨハネ15:11 わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたの喜びが満たされるためです。

Uコリント5:17 だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。

ピリピ4:4 いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい。

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