2019年11月10日「行くべき道を教えなさい」箴言22:6

序−今日子どもに関する深刻な問題が増加し、子どもを取り巻く環境は、危機に瀕しています。社会は、問題が頻出して迷走するばかりです。親たちも葛藤し、子育てに倦み疲れ、悩んでいます。子育ての状況、親育ちの状況が悪化しています。聖書の言うことに目を向けましょう。

T−感情と知性をともに−箴言22:6,エペソ6:4
 聖書は、子どもに「行くべき道を教えなさい」と言っています。箴言22:6。「若者」と記されていますが、小さな子どもも含む言葉で、他の訳では、「子どもたち」と訳されています。親は、子どもたちをどのように育てるのか、どんな心で育てるのか、あまり学んでいません。教えられてないままで、親になり、子育てをしています。聖書では、どのようなことが教えられているのでしょう。
 まず、エペソ6:4。「子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい」と言っています。子育てをする親たちが、いらいらして、怒ってしまうと、子どもも、不安定になり、怒ってしまいます。悩み、倦み疲れた母親は、「子どもを愛せない」などと感じて悩み、受ける非難を恐れ、「母親失格」だと思いこみます。母親としての自信が持てなくなり、子育ての不安やストレスを深めてしまいます。
 親に対する調査によれば、71.8%が「育児ストレスを感じたことがある」と回答し、最も多い原因は、「子どもが言うことを聞かないから」で、その結果突出して多いのが「些細なことで怒鳴ってしまう」でした。確かに、子どもを育てるには、躾をしなければなりません。子育てをしていると、ついつい感情任せに叱ってしまう場面があります。でも、怒って、怒鳴って従わせたとしても、子どもが納得して従ったわけではありません。いつも仕事や時間に追われている親は、言うことを聞かない子どもにイライラして、感情任せに怒鳴ることになります。従っても、怒鳴られたからやめただけです。明日も子どもは同じことを繰り返すだけです。
 何度も同じことを言っているのに直らなかったり、忙しいときに駄々をこねられたりすると、イライラとしてしまうのは当然です。非常に危険なことをした場合などは、親が感情をあらわに叱ることも必要ですが、感情に任せて叱ることは、マイナス要因が多いです。どうしたらよいでしょうか。心で祈ることも必要でしょう。まずは気持ちを落ち着かせて、理由や結果を説明しましょう。もちろん、理由や結果を説明しても、すぐに変わることは期待できないでしょうが、自分で理由や結果を考えて自身を納得させる力は徐々に育っていくようになります。「しつけ」は人とのコミュニケーション、人と人との心の関わり合いの中で身についてくるものです。
 人は感情の生き物です。感情は人間性を豊かにします。聖書は、感情とともに、知恵や知性が必要だと教えています。箴言13:1,15:20,心理学者ジョン・ゴットマンは、「感情的に知的な子供を育てる」ことを提唱しています。感情的に知的な子を育てるには、子どもたちが自分の感情世界を理解し、規制することを教える必要があります。感情的に知性のある子どもは、自信が増し、社会的関係がより健康的になると言っています。「感情コーチング」が両親に与えられていると言っています。

U−幼い頃から聖書を学んで−Uテモテ3:15, Uテモテ1:5
 誰かが子どもをよく育てたと言っても、そのように教育すれば誰でもうまく育てられるということはありません。しかし、子供を育てる原理は、聖書に教えられています。箴言22:6で、「行く道にふさわしく教育せよ」と言っていますが、道に迷って、間違った道を行けば、到達することができません。行くべき道を知っていることは、大変重要なことです。私たちの人生を左右します。
 子供の教育において、知識の教育がすべてではなく、人格教育がより重要であることは誰もが知っています。特に今日人格教育の不在のゆえに、社会がこのような状況になったことを否定する人は一人もいません。ですから、子供たちの人格が養われる道を教えなければなりません。その道が、聖書の示す「行くべき道」です。行くべき道とは一時的に必要な道ではなく、一生涯進むべき信仰の道を意味しています。
 昔の人は、三つ子の魂百までもと言いました。聖書に登場するテモテは、幼いころから聖書を学びました。Uテモテ3:15。彼は、祖母ロイスと母ユニケから、信仰の遺産を受け継ぎました。Uテモテ1:5。今日の幼児教育の重要性は、すべての人にすべて認められています。子供の精神的な教育は、早くから始められれば始められるほど、より効果があります。聖書を学んだ神の民は、子どもが生まれると、その子を神にささげます。神から与えられた神の子どもだからです。2歳3歳の頃から聖書を教えます。子どもが一生涯神に献身的に生きるように教え訓練する重要な時期だからです。
 学校の教育が人格教育をしてくれるわけではありません。今日の教育現場は、むしろマイナス要因も多いです。とにかく子育てや子供の教育の問題は、すべての人が悩んでおり、深刻な話題となっています。「その行く道にふさわしく教育せよ」というのは、親にその使命があるからです。「主の教育と訓戒によって育てなさい」と言っています。エペソ6:4。「主の」とは、聖書の御言葉のことです。子供の教育において何よりも重要なのは、子供を神の言葉で養うことにあります。子どもの教育は、御言葉を教え、御言葉で養わなければならないということです。
 「行くべき道を教えなさい。そうすれば、年老いても、それから離れない」と言うのですが、行くべき道を子供に教えたら、一生そのように生きるという言葉です。人は、年を取るほど忘れてしまいます。年を取って学んだこと、やったことなどは、簡単に忘れてしまいます。ところが、子供の頃に褒められたこと、叱られたこと、楽しく遊んだことなどは、忘れられません。子どもの頃住んでいた風景は、ずっと覚えています。ですから、行くべき道を子供に教えたら、年老いてもそれが残ります。
 大人になって教会に来る人の中に、子どもの頃教会学校に行っていた、教会に行ったことがあるという人がよくいます。人生を生きていく知恵は、最終的に神様が与えてくれるものです。人生を生きていく能力も祝福も、神様が与えてくれるのです。子育ては、自分だけでするものではありません。種を植えれば、作物が実ります。何よりも、子育てを通じてイエス様を植え、信仰を植え、御言葉を植え、教会を植え、愛を植えるならば、祝福された人生が実ります。ヤコブ1:21 ,Tコリント3:7。すべての親は、神様から子供を委託されたという事実を忘れてはいけません。多くの親たちが子供をまるで自分の所有物であると考えています。すべての子供たちは、神の所有物です。イエス様から贈られた子どもたちを神の子どもとして育てるのです。

V−親自身が教えられ、愛されてこそ−
 子育てと共に、親育ちという用語があります。親育ちとは、親として成長すること、「親になる」プロセスのことです。今日、親もまた、自信を失っています。運転には免許があるのに、すべての学問や技術に学びや講習があるのに、親には、講習も免許もありません。戸惑ったり、悩んだりするのは、当たり前です。ですから、子育てとともに親育ちもするのです。言葉も話せない段階から、子どもは親の言うことの30%を学び、親のすることの70%をまねるといわれます。
 行く道にふさわしく教育するためには、まず親自身が、心に御言葉を刻みつける必要があります。申命記6:6。親が先に神の言葉の中に生きて、恵みや導きを受けて行かなければなりません。行くべき道を教える親自身が御言葉に生きて、信仰の道を歩んでこそ、子どもに教えることができます。戸惑うなら、御言葉に聞きます。悩んだら、主に祈ります。親だけで子育てするのではありません。主が共にしてくださいます。テモテには、信仰の母ユニケだけでなく、信仰の祖母のロイスもいました。私たちにも、家族や教会の人々がいます。一人で悩んだり、苦しんだりしないでください。
 私たちは、まず自分自身が御言葉の中に生きることです。ヨハネ15:12。つまり、私たちの中にキリストの愛があふれたとき、その愛と御言葉を子どもや人々に教えることができます。人の罪を贖うために、私たちの身代わりとなって、イエス様が十字架につけられ、死なれました。ここに神の愛があります。ヨハネ3:16。人が安定して、健康で、幸せな生活をするようになるには、幼い時に多くの愛を受ける必要があります。親の無条件の愛を十分に受ける。それが、子どもの生涯の財産になります。
 創世記のはじめを見ると、神が創造された時すべてが良かったと言っています。子どもも同じです。生まれた時から悪い子どもなんていません。後天的な環境で人格が形成させて行きます。ですから、親の存在が重要です。子どもが育つ環境が大きく影響します。親が育てば、子どもも育ちます。親が変われば、子どもも変わります。関心や愛の欠如、否定的な言葉の多い環境で、心の健康的な子どもは育ちません。
 良い親が良い子を育てます。ヨハネ13:15。イエス様は、手本を弟子たちに見せてくださいました。弟子たちは、それを倣い、私たちに手本を示してくれました。私たちも、子供たちに手本を見せなければなりません。今日はこの一つのことを胸に深く刻みましょう。子供たちは、無限の可能性を秘めた明日の主人公たちです。行くべき道を教えましょう。箴言22:6。



箴言22:6 若者をその行く道にふさわしく教育せよ。そうすれば、年老いても、それから離れない。

エペソ6:4 父たちよ。あなたがたも、子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい。

Uテモテ3:15 また、幼いころから聖書に親しんで来たことを知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えてキリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができるのです。

Uテモテ1:5 私はあなたの純粋な信仰を思い起こしています。そのような信仰は、最初あなたの祖母ロイスと、あなたの母ユニケのうちに宿ったものですが、それがあなたのうちにも宿っていることを、私は確信しています。

申命記6:6 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。

ヨハネ13:15 わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするように、わたしはあなたがたに模範を示したのです。

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