2020年8月23日「主が約束されたから」U列王記8:1〜24

序−旧約聖書と新約聖書について聖書を知らない人に質問すると、旧い訳と新しい訳と言う人や旧約がカトリックで新約がプロテスタントと答える人がいます。約とは、契約のことです。私たちは、色々な約束をしますね。結婚の時や洗礼の時の誓約もあります。この聖書の約束は誰と誰の約束で、どんな契約なのでしょうか。今日の箇所から学びましょう。

T−十字架の犠牲という代価によって買い戻された−1〜6
 再びシェネムの女の登場です。1節前半。預言者エリシャのために、部屋と寝台と机と燭台を用意して、主に仕えた女性でした。1年後に子どもが与えられるという約束通り男の子が与えられ、その後死んでしまった息子を生き返らせてもらったあの女性です。U列王記4:8〜37。主は、約束通り行われる方であることが教えられていました。
 この主を愛して、主に仕えていた女性は、飢饉が起こるから他の地に逃れているようにとエリシャに言われて、家族の者を連れてペリシテ人の地に行き、七年間滞在していました。1〜2節。だからと言って、すべてを置いて去ることは容易なことではありません。この女性は、主の言葉を信じて従いました。7年後戻って来たら、元の家と土地は他人のものになっていました。3節。その間に、夫はなくなっていたようです。この女性には、何もありません。絶望の極みです。他の人のように、嘆き恨むのでなく、自分の相続地を回復してもらおうと、王様に訴えました。
 ここにすごいドラマがあります。その時、王様は、エリシャに仕える若者からエリシャが行ったすばらしいことを聞いていました。4節。そして、エリシャがシェケムの女の息子を生き返らせたことを話していた「ちょうどそこに」シェケムの女が、自分の家と畑のことについて王に訴えに来たのです。5節。私たちにも、丁度その時という神の時があります。王は、すぐに彼女の物を全部返してやるように役人に命じました。6節。
 一個人に起きたドラマのような出来事ですが、ここにイエス様を信じる私たちに対して神様が約束を守られるということが教えられています。このような話は、ルツ記にも記されています。飢饉でモアブに逃れていたナオミが、嫁のルツを連れて戻って来た時、ルツが「はからずも」買い戻しの権利のある親戚ボアズの畑で落穂拾いをして知り合い、相続地を買い戻してもらい、結婚して息子を産み、その息子がダビデの祖父になるという話です。
 この買い戻すことをゴエルと言います。ルツ2:20。英語ではレディーム、贖うと言っています。贖いとは、イエス様の十字架による救いの御業のことです。罪のために失った永遠の命と御国の相続の権利が、イエス様の十字架の犠牲という代価によって買い戻されたのです。Tコリント6:20。神様が私たちを救いに召してくださったのは、私たちの功績や働きによるのではなく、神ご自身の永遠の計画と恵みによることでした。旧約聖書の約束が、イエス様によって明らかにされたのです。Uテモテ1:9〜10。
 この救いは、ただ神様の恵みによることであり、信仰によって救われたのです。エペソ2:5,8。神様が忠実に契約を履行してくださったのです。ですから、私たちがこの恵みの契約に従って生きる時に、ナオミやシェケムの女のようにしていただけます。人が罪のために失った御国の相続を神の御子であるイエス様によって回復されるのです。エペソ1:11。聖餐式の箇所を思い出してください。Tコリント11:25,マタイ26:28。イエス様は、杯を取って「これは、わたしの血による新しい契約です」と言われました。

U−エルサレムのために泣くイエス様−7〜15
 この救いの約束のゆえに、主は、背信のイスラエルのために嘆かれます。アラム王の大臣ハザエルの話にあらされています。7〜15節。エリシャがアラムへ行った時、病気だったアラム王ベン・ハダテは、エリシャに自分の病気が直るかどうか聞くようにとハザエルを遣わしました。8〜9節。エリシャの答えは、なぞなぞのような答えです。10節。「彼は必ず直る」と言いながら、「彼が必ず死ぬ」とも言われたのです。つまり、病気は回復する病気だが、結局死ぬことになるという意味です。
 こう言いながら、エリシャは、ハザエルの顔をまじまじと見つめて、泣き出しました。11節。なぜエリシャは泣いているのでしょうか。ハザエルが尋ねると、エリシャは、ハザエルがやがてアラムの王となって、イスラエルに酷いことをするからと言うのです。12節。彼は、そんなことはないと否定しながら、アラムに帰って王に病気は直ると告げた翌日、王を暗殺して、自分が王になります。14〜15節。
 ハザエルのイスラエルに対するひどい仕打ちは、不信仰と偶像礼拝に対する裁きであり、悔い改めないイスラエルが自らに招いたことです。T列王19:15〜17。ですから、主は嘆かれるのです。エリシャの涙は、父なる神の涙です。あわれみ深い神は、繰り返し悔い改めの機会をお与えになります。でも、彼らは気付かないのです。
 イエス様もエルサレムのために泣いています。ルカ19:41〜44。神殿があり、祭司たち、律法学者、パリサイ人がいるエルサレムのために嘆いておられます。既得権益を握っていた彼らは、約束されていた救い主が来られたのに、悔い改めることなく、イエス様を退け、攻撃しました。結局、AD70年にエルサレムはローマ帝国によって攻められ、陥落します。
 イエス様は、昔から告げ知らされていた救い主、神の民を贖う方、平和の君です。罪の赦しが与えられる唯一の道、真理であり、命であるイエス様です。ヨハネ14:6。そんな救い主イエス様を排斥するエルサレムが、やがて陥落するのを知って、イエス様は泣かれました。その中にいる人々を思って涙されました。十字架刑に引かれて行くイエス様のために泣く女性たちに対して、イエス様は「むしろ自分自身と子どもたちのために泣きなさい」と言われました。ルカ23:28。
 私たちは、何のために泣いていますか。イエス様が私たちのために泣いてくださいます。罪の姿を見て、嘆かれ、十字架にかかられました。悔い改めて、主の愛とあわれみを受けましょう。

V−イエス様の十字架に免じて−16〜24
 主の救いの約束は、あわれんで嘆いてくださるだけではありません。もっとすごいあわれみです。南ユダ王国のヨラムから学びましょう。ユダ王国にも不信仰と偶像礼拝が生じていました。16節によれば、北イスラエルがヨラム王の時、南ユダ王国は、ヨシャパテからヨラム王に変わります。ヨシャパテは、主の目にかなうことを行った信仰の王でした。T列王22:43。しかし、政治的な判断のために、北イスラエルとの姻戚関係を結びました。アハブの娘アタルヤを息子ヨラムの嫁に迎えました。
 そのために、ヨラム王はアハブの家の者がしたように、主の目の前に悪を行いました。18節。アハブの娘である妻が、ユダ王国に偶像礼拝を引き入れたからです。その結果、南にあるエドムがユダに背いて、独立しました。20〜22節。さらには、ペリシテ人やアラビヤ人が敵対して、エルサレムに攻め入り、財宝や妻子を奪い去り、息子一人だけ残されました。そして、自身も内臓の病気になって苦しみ、死にました。U歴代21:16〜19。
 これでは、北イスラエルのように滅びるのでしょうか。いいえ、滅びることはありません。その理由に注目しましょう。19節。「主は、そのしもべダビデに免じて、ユダを滅ぼすことを望まれなかった。主はダビデとその子孫にいつまでもともしびを与えようと、彼に約束されたからです」これは、主がダビデ王に約束されたことです。Uサムエル7:11〜16。
 「ダビデに免じて」とは、神様がダビデ王と約束されたので、神様がその契約を忠実に守られるということです。この約束を受けたダビデ自身、罪を犯し、失敗をすることがありましたが、神様の契約は変わることはありませんでした。契約に違反しても、戒められますが、契約は破棄されません。なぜでしょう。神様がご自分で結ばれた契約だからです。マラキ3:6。
 旧約の民は、神の契約を破りましたが、やがて神が新しい契約を結んで、「わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる」と約束されました。エレミヤ31:31〜33。その契約を守り行なう力を彼ら自身が持たないことが、古い契約の限界でした。そこで神は彼らに新しい契約を立てられます。その契約の新しさは、契約の内容そのものではなく、契約の当事者であるイエス様を信じる者たちの心が新しくされて、契約を守り行なう力を与えられるというものでした。ついに、イエス様が来られて、新しい契約を結ばれました。Tコリント11:25。人々の罪の身代わりに十字架にかかられて、罪の赦しと御国への命を与えてくださいました。神は忠実に契約をなしとげられました。今、イエス様の十字架の贖いを信じる者が、契約の民です。
 私たちは、どうでしょう。契約をした神の民でありながら、自己中心になっていませんか。心の罪を犯すことも多いです。憎しみや悪口がつい口から出て来て、人の心を傷つけていませんか。ヨラム王の姿は、今日の私たちの姿でもあります。なぜ赦されて、神の愛とあわれみを受けられるのでしょう。イエス様の十字架に免じてです。私たちは、新しい契約であるイエス・キリストの恵みに堅く立ち、救いの契約に従って生きるだけです。私たちの神が契約を結ばれる神であるという契約神学が、私たちの信仰の中心をなしています。「わたしはあなたの神となり、あなたはわたしの民となる」エレミヤ31:33。



U列王記8:1 エリシャは、かつて子どもを生き返らせてやったあの女に言った。「あなたは家族の者たちと旅に立ち、あなたがとどまっていたい所に、しばらくとどまっていなさい。【主】がききんを起こされたので、この国は七年間、ききんに見舞われるから。」
8:2 そこで、この女は神の人のことばに従って出発し、家族の者を連れてペリシテ人の地に行き、七年間滞在した。
8:3 七年たって後、彼女はペリシテ人の地から戻って来て、自分の家と畑を得ようと王に訴え出た。
8:4 そのころ、王は神の人に仕える若い者ゲハジに、「エリシャが行ったすばらしいことを、残らず私に聞かしてくれ」と言って、話していた。
8:5 彼が王に、死人を生き返らせたあのことを話していると、ちょうどそこに、子どもを生き返らせてもらった女が、自分の家と畑のことについて王に訴えに来た。そこで、ゲハジは言った。「王さま。これがその女です。これが、エリシャが生き返らせたその子どもです。」
8:6 王が彼女に尋ねると、彼女は王にそのことを話した。そこで、王は彼女のためにひとりの宦官に命じて言った。「彼女の物は全部返してやりなさい。それに、彼女がこの地を離れた日から、きょうまでの畑の収穫もみな、返してやりなさい。」
8:7 エリシャがダマスコに行ったとき、アラムの王ベン・ハダデは病気であったが、彼に「神の人がここまで来ました」という知らせがあった。
8:8 王はハザエルに言った。「贈り物を持って行って、神の人を迎え、私のこの病気が直るかどうか、あの人を通して【主】のみこころを求めてくれ。」
8:9 そこで、ハザエルはダマスコのあらゆる良い物をらくだ四十頭に載せ、贈り物として携えて、彼を迎えに行った。彼は神の人の前に行って立ち、そして言った。「あなたの子、アラムの王ベン・ハダデが、『この病気は直るであろうか』と言ってあなたのところへ私をよこしました。」
8:10 エリシャは彼に言った。「行って、『あなたは必ず直る』と彼に告げなさい。しかし、【主】は私に、彼が必ず死ぬことも示された。」
8:11 神の人は、彼が恥じるほど、じっと彼を見つめ、そして泣き出したので、
8:12 ハザエルは尋ねた。「あなたさまは、なぜ泣くのですか。」エリシャは答えた。「私は、あなたがイスラエルの人々に害を加えようとしていることを知っているからだ。あなたは、彼らの要塞に火を放ち、その若い男たちを剣で切り殺し、幼子たちを八つ裂きにし、妊婦たちを切り裂くだろう。」
8:13 ハザエルは言った。「しもべは犬にすぎないのに、どうして、そんなだいそれたことができましょう。」しかし、エリシャは言った。「【主】は私に、あなたがアラムの王になると、示されたのだ。」
8:14 彼はエリシャのもとを去り、自分の主君のところに帰った。王が彼に、「エリシャはあなたに何と言ったか」と尋ねると、彼は。「あなたは必ず直る、と彼は言いました」と答えた。
8:15 しかし、翌日、ハザエルは毛布を取って、それを水に浸し、王の顔にかぶせたので、王は死んだ。こうして、ハザエルは彼に代わって王となった。
8:16 イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年に──ヨシャパテがユダの王であったが──ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが王となった。
8:17 彼は三十二歳で王となり、エルサレムで八年間、王であった。
8:18 彼はアハブの家の者がしたように、イスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻であったからである。彼は【主】の目の前に悪を行ったが、
8:19 【主】は、そのしもべダビデに免じて、ユダを滅ぼすことを望まれなかった。主はダビデとその子孫にいつまでもともしびを与えようと、彼に約束されたからである。
8:20 ヨラムの時代に、エドムがそむいて、ユダの支配から脱し、自分たちの上に王を立てた。
8:21 ヨラムは、すべての戦車を率いてツァイルへ渡って行き、夜襲を試み、彼を包囲していたエドムと戦車隊長たちを打ったので、その民は自分の天幕に逃げ帰った。
8:22 しかしなお、エドムはそむいて、ユダの支配から脱した。今日もそうである。リブナもまた、その時にそむこうとした。
8:23 ヨラムのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。
8:24 ヨラムは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともにダビデの町に葬られた。彼の子アハズヤが代わって王となった。



ルツ2:20 ナオミは嫁に言った。「生きている者にも、死んだ者にも、御恵みを惜しまれない【主】が、その方を祝福されますように。」それから、ナオミは彼女に言った。「その方は私たちの近親者で、しかも買い戻しの権利のある私たちの親類のひとりです。」

Tコリント6:20 あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現しなさい。

Uテモテ1:9 神は私たちを救い、また、聖なる招きをもって召してくださいましたが、それは私たちの働きによるのではなく、ご自身の計画と恵みとによるのです。この恵みは、キリスト・イエスにおいて、私たちに永遠の昔に与えられたものであって、
1:10 それが今、私たちの救い主キリスト・イエスの現れによって明らかにされたのです。キリストは死を滅ぼし、福音によって、いのちと不滅を明らかに示されました。

エペソ2:5 罪過の中に死んでいたこの私たちをキリストとともに生かし、──あなたがたが救われたのは、ただ恵みによるのです──
2:8 あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。

エペソ1:11 この方にあって私たちは御国を受け継ぐ者ともなりました。みこころによりご計画のままをみな行う方の目的に従って、私たちはあらかじめこのように定められていたのです。

Tコリント11:25 夕食の後、杯をも同じようにして言われました。「この杯は、わたしの血による新しい契約です。これを飲むたびに、わたしを覚えて、これを行いなさい。」

ヨハネ14:6 イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。

Uサムエル7:13 彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしはその王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。
7:14 わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。もし彼が罪を犯すときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。
7:15 しかし、わたしは、あなたの前からサウルを取り除いて、わたしの恵みをサウルから取り去ったが、わたしの恵みをそのように、彼から取り去ることはない。
7:16 あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。

エレミヤ31:31 見よ。その日が来る。──【主】の御告げ──その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家とに、新しい契約を結ぶ。
31:32 その契約は、わたしが彼らの先祖の手を握って、エジプトの国から連れ出した日に、彼らと結んだ契約のようではない。わたしは彼らの主であったのに、彼らはわたしの契約を破ってしまった。──【主】の御告げ──
31:33 彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。──【主】の御告げ──わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。

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