2023年6月18日「わたしが主である」イザヤ45:1〜7

序−心配性は、人間の本性の一つです。心配するから危険を未然に防ぐことができます。心配することは正常な心理なのですが、度が過ぎると心身共に疲弊してしまいます。心配性は、ストレスを抱え易く、ネガティブになりがちです。イザヤからバビロン捕囚の預言を受けた民は、不安でたまりませんでした。しかし、バビロンからの解放も告げてくれます。

T−油そそがれた者キュロス−1〜4
 イザヤ書の前半はユダに対するバビロン捕囚の裁きが預言されていましたが、後半はバビロン捕囚からの解放の希望と慰めが預言されています。以前にエレミヤの哀歌を学んだ時、バビロン捕囚の70年後に解放されて帰還できると預言されていたとことを学びました。エレミヤ29:10。それをしてくれるのが、ペルシア王キュロスです。1節前半。実際の様子が、エズラ記に記されています。エズラ1:1〜4。捕囚から解放し、エルサレムに帰還させ、神殿を再建させるようにします。 今日の箇所は、イスラエル民族を回復させるという慰めと約束の言葉です。
 世界史的には、アケメネス朝ペルシアの建設者キュロスUです。バビロンを倒して、はじめてオリエント世界を統一してペルシア帝国を建てました。諸民族を融和政策によって大帝国を見事に統治した王であると評価されています。現代イランでも尊敬されているそうです。
 「油そそがれた者キュロス」とは、神様がキュロス王を立ててくださったということです。そして、キュロスを神様が用いられるというのです。1〜4節。1節では、神様がキュロスの前に列国に降伏させ、従わせると約束しています。そのために、2節のように、神様が先に立って、戦ってくださると言われるのです。そして、4節にあるように、肩書きを与えると言われました。何と「わたしのしもべヤコブのため、わたしが選んだイスラエル」と呼んでくださいました。これは、イスラエルの民にだけ呼んでいたものです。
 不確実な未来によって、しばしば私たちは不安に囚われ、心配が私たちを萎縮させます。漠然とした恐れが私たちを取り囲み、心を痛め、病気にさせます。神様は、そんな状態になっている神の民のためにキュロスを立ててくれると言われるのです。
 特筆すべきは、キュロスは異邦人であるということです。神様の祝福を受ける資格のない者です。それなのに、用いられました。神様の子どもたちを助ける神がキュロスを選び、王としました。神の民ためには異邦人までも用いられることを教えています。私たちの神様は、私たち救われた者たちのために、今も働いておられる方です。そして、私たちをキュロスのように召して、遣わし、人々を救う宣教の働きに用い、助けを必要としている人々に仕えさせておられます。詩篇119:37。
 「主は、油注がれたキュロスに…」という出だしは、神の民にとっては、衝撃的なことです。神様は、「わたしは彼の右手を握り…、わたしはあなたの前に進み…、わたしは秘められている財宝と…」と繰り返し神ご自身が働いてキュロスを用いられたことを強調しておられます。心配しないでください。神様自らが働いて、あなたを助けてくださいます。私たちがその使命を確信して従うならば、神が成してくださいます。
 聖書の神様って、このような方なのだということです。神は、この箇所を通して神がどんな方であり、何を望んでおられるかを明らかにしておられます。私たちは、もっと自分の信じている神様を知ることを望みます。

U−あなたはわたしを知らないが−3〜4
 ところが、キュロスは神様を知らない者でした。神様は、キュロスに対して繰り返し「あなたはわたしを知らないが」言っておられます。4〜5節。キュロスという人は、聖書の神様をまったく知らない人だったということです。しかし、神様のことをまったく知らなかったキュロスを神様はこんなにも祝福して用いられたのです。驚くべきことです。
 キュロスには何の資格もありません。それまでは神様のために何もしていません。それなのにこのような祝福を受けたのは、一方的な神様の選びだということです。無条件な神の恵みが、キュロスを祝福の人にしたということです。エペソ2:5,8。こんな人はキュロスだけでしょうか。私たちもそうではないでしょうか。私たちも、神様を知らない時に救いに選ばれ、生まれる前に神の召しを受けた者ではないですか。エペソ1:4,5,11。
 神は、「あなたはわたしを知らないが、わたしはあなたに力を帯びさせる」と言われました。神様の召しは、召して終わりではなく、必ずそのための能力や導きを与えてくださいます。キュロスは、元々ペルシア地方を治めていたメディア王国に服属していた小国ペルシアの王子として生まれましたが、捨てられて羊飼いとして育ちました。王子に復帰して後、メディアが圧倒的に不利な中を、精鋭部隊が味方してくれて奇跡的に勝利し、宴会中油断していたバビロン帝国を一挙に占領することができました。一つ一つ神様に守られ、導かれて勝利することができました。
 確かにキュロスは神様を知りませんでしたが、神様がキュロスを通してバビロンを屈服させて歴史を転換させ、イスラエルを捕囚から解放してくださいました。神の祝福を受けた後、キュロスは、イスラエルの歴史の中で驚くべきことをします。エズラ1:1〜2。ユダの民がエルサレムに帰還するように命じたキュロスは、「天の神、主は、地のすべての王国を私にお与えくださった。この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てるよう私に任命された」と通達しています。バビロンによって奪われた神殿の什器を持たせて帰還させているのです。
 こんなことってあるのでしょうか。でも、歴史的事実です。私たちが、神様がキュロスに言われた約束の御言葉を信仰によって受け入れるならば、私たちにとっても、約束の御言葉となります。神様がその働きや立場に召してくださったならば、神様が力を与え、導いてくださいます。私たちも祝福を受けた者です。キュロスのように、驚くべきことをする人にもなります。
 神の民は、どうして神を知らない者が神様の働きをすることができるのかと言います。神様は、神の民のためには神を知らない王様をも用いられるのです。神様がキュロスを選び、委任されたのです。神の民をバビロン捕囚から解放し、エルサレムに帰還させ、神殿を再建させるためという目的のために用いられたのです。重要なのは、神様がキュロスを選ばれたのは、キュロスに神の働きをさせるためだということです。

V−わたしが主である−5〜7
 多くの人が、神を信じるクリスチャンと言いながらも、あらゆることで心配し、不安に包まれ、恐れています。その理由は、自分と共におられる神様を知らないからです。それで、神がどんな神であるかをあなたに明らかにしてくださいます。5〜7節。「わたしのほかに神はいない」と繰り返しています。創造主であることを宣言しておられます。聖書の神を信じるということは、神様が私の主人であり、私の人生の主管者であることを認めることです。神様が私の造り主であるならば、当然御言葉に従わなければなりません。自分の考えや意思より、神様の御心を優先するはずです。
 しかし、人は自分の習慣を捨てて、神の御旨に従うことがとても難しいのです。いや、自分の思いばかりで、まったく神の言うことを聞こうとしません。イザヤ29:13,マタイ15:8〜9。私たちも、キュロスのように祝福され、力を与えられ、用いられたいのです。そのためには、自分の神がこの世を造られた神であり、世を治めておられる神であることを認め、御言葉に従うことです。
 私をこの時代に生まれさせ、学びを与えられ、仕事を与えられ、家庭を与えられたのも神です。今の状況や環境を与えてくれたのも神です。自分の人生の主管者であることを認め、自分が神の子どもとされていることを自覚するならば、どのように生きなければならないか、はっきりして来るでしょう。ローマ8:17〜18。
 あなたはイエス様の十字架によって救われた神の子どもですか。それならば、神を信頼して従うべきです。パウロの告白を引用しましょう。ピリピ4:11〜13。神への信頼があるから、こう告白できるのです。このような素晴らしい信仰告白が出て来る元は、今日のような個所です。5〜7節。
 なぜ、私たちにイザヤ書が残されたのでしょう。神様がイザヤを通して語られた預言は、「こうなるだろう」ではなく、「こうする」というものです。将来のことでも、現在なることと言っています。今日の御言葉は、神の民、神の子どもを助けるためには、神は異邦人までも用いられることが教えられています。神様だけを信頼すれば、神がすべてのことを動員してでも私たちを助けて導いてくださることを明らかにしておられます。
 なぜ、このように詳細に預言されているのでしょうか。心配するよりも、神様にお願いしなさいということを教えています。聖書の通り歴史的に成されたと知るならば、他のことも御言葉通り神がしてくださると信頼するようになるからです。私たちは、様々なことで心配し、起こって来る問題で不安になります。徹底して神様を信頼して生きて行くのです。イエス様の十字架を信じて救われた者については、神様の救いの働きが続いていることを覚えなければなりません。エレミヤ29:10〜11。



イザヤ45:1 【主】は、油そそがれた者キュロスに、こう言われる。「わたしは彼の右手を握り、彼の前に諸国を下らせ、王たちの腰の帯を解き、彼の前にとびらを開いて、その門を閉じさせないようにする。
45:2 わたしはあなたの前に進み、険しい地を平らにし、青銅の扉を打ち砕き、鉄のかんぬきをへし折る。
45:3 わたしは秘められている財宝と、ひそかな所の隠された宝をあなたに与える。それは、わたしが【主】であり、あなたの名を呼ぶ者、イスラエルの神であることをあなたが知るためだ。
45:4 わたしのしもべヤコブのため、わたしが選んだイスラエルのために、わたしはあなたを、あなたの名で呼ぶ。あなたはわたしを知らないが、わたしはあなたに肩書きを与える。
45:5 わたしが【主】である。ほかにはいない。わたしのほかに神はいない。あなたはわたしを知らないが、わたしはあなたに力を帯びさせる。
45:6 それは、日の昇る方からも、西からも、わたしのほかには、だれもいないことを、人々が知るためだ。わたしが【主】である。ほかにはいない。
45:7 わたしは光を造り出し、やみを創造し、平和をつくり、わざわいを創造する。わたしは【主】、これらすべてを行う者。」


エレミヤ29:10 まことに、【主】はこう仰せられる。「バビロンに七十年の満ちるころ、わたしはあなたがたを顧み、あなたがたにわたしの幸いな約束を果たして、あなたがたをこの所に帰らせる。
29:11 わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。──【主】の御告げ──それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。

エズラ1:1 ペルシアの王キュロスの第一年に、エレミヤにより告げられた【主】のことばが成就するために、【主】はペルシアの王キュロスの霊を奮い立たせた。王は王国中に通達を出し、また文書にもした。
1:2 「ペルシアの王キュロスは言う。『天の神、【主】は、地のすべての王国を私にお与えくださった。この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てるよう私に任命された。
1:3 あなたがた、だれでも主の民に属する者には、神がともにいてくださいますように。その者はユダにあるエルサレムに上り、イスラエルの神、【主】の宮を建てるようにせよ。この方はエルサレムにおられる神である。
1:4 あとに残る者はみな、その者を援助するようにせよ。どこに寄留しているにしても、その場所から、その土地の人々が、エルサレムにある神の宮のために進んでささげるものに加え、銀、金、財貨、家畜をもってその者を支援せよ。』」

エペソ2:5 罪過の中に死んでいたこの私たちをキリストとともに生かし、──あなたがたが救われたのは、ただ恵みによるのです──
2:8 あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。
2:9 行いによるのではありません。だれも誇ることのないためです。

ローマ8:17 もし子どもであるなら、相続人でもあります。私たちがキリストと、栄光をともに受けるために苦難をともにしているなら、私たちは神の相続人であり、キリストとの共同相続人であります。
8:18 今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されようとしている栄光に比べれば、取るに足りないものと私は考えます。

ピリピ4:11 乏しいからこう言うのではありません。私は、どんな境遇にあっても満ち足りることを学びました。
4:12 私は、貧しさの中にいる道も知っており、豊かさの中にいる道も知っています。また、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています。
4:13 私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです。





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