2023年11月12日「御言葉で育つ」申命記6:4〜9

序−ビル・ゲイツ、スティーブン・スピルバーグ、アインシュタイン、フロイト等、世界の有名な企業の創立者、近代の学者や芸術家等には、ユダヤ人が非常に多いです。ノーベル賞の1/4がユダヤ人です。世界人口の0.2%に過ぎないのに、あまりにも多いです。その理由として取り上げられるのが、今日の箇所のような「シェマ(聞け)教育」(4節)と言われる教えです。私たちが何を聞くべきかを教えているのです。

T−神を畏れる−1〜3
 聖書では、旧約聖書の時代から子どもたちの信仰教育を強調していました。1節。神様が人々に御言葉を与えられる究極の理由は何ですか。2節。彼らに祝福を与えて、彼らの日が長くなるためです。人は誰でも、何も妨げられることなく、自分の思い通り生きたいものです。それが、人の罪の本性です。その人の罪を赦して、真に生きるようにしてくださったのが、イエス・キリストによる十字架の御業です。人々が神に祝福される道は、神様の御心に沿って教えを受けることです。2〜3節。誰でも、子孫の長寿や繁栄を願うものです。そのためにはどうしたらよいかを求めています。神様は、神の御言葉が親を通して次の世代に伝えられることを望んでおられます。どんなことを教え、伝えるのでしょうか。
 まず、「神を畏れること」を教えなければなりません。2節。信仰の人は、神様を一番恐れなければなりません。 神様を畏れて仕えるためです。恐れると言っても、怖いとか恐怖という意味ではありません。神に対する恐れとは、畏敬、畏れ敬うことです。天地万物を創造し、すべ治めておられる神様に対する畏敬の念です。神様の偉大さが分かると、謙遜に神の前に生きるようになります。ですから、「主を恐れることは知恵のはじめである」と言われています。箴言9:10。
 畏れを知らぬ者は、傍若無人に振舞います。人を人とも思わぬ諸行をすることになります。親は、わが子をそんな人に育てたいとは思いません。でも、現代社会の教育は、自分の利益を追求し、競争社会に勝てるようにというものです。しかし、神への畏れを知っている者は、己をわきまえ、人々を大切に思い、人々を愛し、仕えます。自分が神から命を与えられて世に生まれ、神に生かされていることを知っているからです。
 現代社会の教育は、知識偏重です。知識は大切ですが、知識が人を育み、成長させるならば、です。精神が伴わなければ、知識も役に立ちません。世界最高の大学であるハーバード大学は、成績だけで入学させるのではなく、何かを成し遂げる可能性があるかを見て入学させるそうです。知識と成績は入学後いくらでも上げることができるというのです。将来その学生が世のためにどれくらい仕えて大きな仕事をすることができるか、その可能性が重要だというのです。ですから、信仰教育が重要です。

U−神を愛する−4〜6
 次に、教えなけれならないのは、神を愛することです。4〜5節。この4節の「聞け」と訳されたヘブル語が、シェマです。心して聞くべき教えは何ですか。神を愛さなければならないということです。「心を尽くし、いのちを尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」というのは、もう人が自分の全人格をもって神を愛するということです。このように神を愛するというのは、神様が私たちと人格的な交わりを持ちたいと望んでおられるからです。
 神様は、天地万物を創造し、治めておられる、畏れるべき対象です。神が創造主であるのに、私たちは被造物にすぎません。どうして、そんな神様が私たちと人格的な関係を求められるのでしょう。神様が私たちを愛しておられるからです。罪のために滅び行くたましいを哀れんでくださり、ご自分の御子イエス・キリストを世に遣わし、人々の罪の身代わりとして十字架に渡されました。ヨハネ3:16。この節は、ルターが小さな聖書と言っているほどのものです。
 イエス様の十字架による救いが示しているように、神様が「心を尽くし、いのちを尽くし、力を尽くして」私たちを愛してくださったからこそ、私たちも「心を尽くし、いのちを尽くし、力を尽くして」神を愛さなければならないのです。親子でもそうではないですか。子どもの頃は、親がどれほど自分を愛してくれたかあまり分かっていません。しかし、やがてその子が親となって初めて親の愛が分かるようになります。自分が親として子どもたちを愛するようになって、自分の親たちもこんなに自分を愛してくれたのだなと分かり、感謝と心の痛みを感じるようになります。
 どれほど自分が神から愛されているかを知ったならば、心を尽くして、命を尽くして、力を尽くして神様を愛さなければと思うようになるのです。現代社会の家庭と親子関係には、様々な問題があります。けれども、ご自分のひとり子を十字架の犠牲に渡されるほどの神の愛に心が満たされるようになるなら、その家庭に神の愛が流れ、親から子へ愛が流れるようになります。神の愛で満たされた家庭は、天国を味わう家庭となります。ですから、何よりも、私たち自身が神の愛を知って、心を尽くして、命の限り神を愛する者になることを願います。
 神様が御子イエス様を世に遣わして、イエス様の十字架の犠牲によって私たちを救い、天国への命を与えてくださいました。ここに神の愛があります。Tヨハネ4:9〜10。私たちは、これほどまで愛されているので、他の人々を愛することができるようになります。Tヨハネ4:19,21。神様が私たちに5節のように神を愛するように言われたのは、私たちが神の愛を知って神を愛するならば、私たちの子供たちや他の人を愛するようになるからです。
 イエス様も、「心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」と言われると共に、「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」と言われました。この二つの戒めに律法と預言者の全体がかかっていると教えられました。マタイ22:35〜40。
 なぜ、6節で「これらのことばをあなたの心にとどめなさい」と言っているのでしょうか。以前の訳では、「心に刻みなさい」でした。人は、神の愛を忘れてしまうからです。イスラエルの歴史がそれを教えています。私たちも、神を愛することを忘れないで、子どもたちを愛して行くならば、家庭が祝福されます。御言葉を心に刻みます。

V−御言葉を教える−7〜9
 三つ目の勧めは、神を愛することを子どもたちによく教えることです。7〜9節。「あなたの子どもたちによく教え込みなさい」と言っていますが、どれくらいよく教え込まなければならないのでしょうか。「家に座っているときも道を歩くときも、寝るときも起きるときも」と言うのは、いつもということです。よく教え込むという原語は、「鋭くする」とか「研ぐ」という意味です。神の愛を忘れないように、自分の心に刻み、子どもたちに繰り返し教えなければならないということです。
 子どもたちに御言葉を教え、神の愛を知らせたとしても、大人のようにはよく理解することができないし、よく感じていないかもしれないからです。御言葉でない別なものに染まり易いし、世の悪いものに心が奪われる危険もあるからです。世では、子どもの成績がよくて、出世して、収入が多くなることを望みます。でも、よく勉強ができて、出世したからと言って、人生が成功するわけではありません。頭がよくて高い地位に就いていても、不幸な人は大勢します。人生に成功するのは、神様の愛を知り、神を愛することです。イエス様の十字架によって救われて生きることです。
 子どもたちに本当に成功した人生を望むなら、子どもたちが神様の愛を知るようにしなければなりません。リンカーンの母は、彼が9歳の時世を去りますが、リンカーンに遺言を残しました。「毎日聖書を読んでください。人生の危機が迫る時は、もっと一生懸命聖書を読んでください。あなたの人生の基準を神の御言葉に置いて生きなさい」と言って息を引き取りました。この遺言がリンカーンを導きました。今私たちに対して、「御言葉をあなたの心に刻み、あなたの子供を熱心に教えるように」と言われています。
 8〜9節のことばは、何を意味しているのでしょう。イエス様は、パリサイ人が外見だけそのようなことをして、自分を誇っていたのを見て批判されました。彼らが真実に神様を愛することをしていなかったからです。マタイ23:5。8〜9節のようなことを命じているのは、御言葉を忘れないようにするため、御言葉を覚えて実践するためです。ですから、私たちは、全人格を尽くして神様を愛し、子供たちにもそのように神様を愛するように熱心に繰り返し教えるのです。
 申命記は、イスラエルの民がカナンの地に入る直前に、モーセを通してイスラエルの民に、教訓が与えられたものです。イスラエルの次の世代がカナンの地に入り、神の契約の民としてつかまえなければならない重要なことが何であるかを教えました。申命記の重要な教えを一言で言うと、それは「神の御言葉通りに生きなさい」という言葉にまとめられます。
 今日の1〜3節でも、神様の掟と命令を聞いて、守り行いなさいと命じています。その命じている内容は、神を畏れること、神に愛されていることを知って心を尽くして愛すること、そして、御言葉を心に刻み、子どもたちに熱心に教えることでした。今日私たちは、心に何が与えられましたか。どのように応答しますか。申命記6:6〜7節前半。



申命記 6:1 これは、あなたがたの神、主が、あなたがたに教えよと命じられた命令、すなわち掟と命令である。あなたがたが渡って行って所有しようとしている地で、それらを行うようにするためである。
6:2 それは、あなたの一生の間、あなたも、そしてあなたの子も孫も、あなたの神、主を恐れて、私の命じるすべての主の掟と命令を守るため、またあなたの日々が長く続くためである。
6:3 イスラエルよ、聞いて、守り行いなさい。そうすれば、あなたは幸せになり、あなたの父祖の神、主があなたに告げられたように、あなたは乳と蜜の流れる地で大いに増えるであろう。
6:4 聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である。
6:5 あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。
6:6 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心にとどめなさい。
6:7 これをあなたの子どもたちによく教え込みなさい。あなたが家に座っているときも道を歩くときも、寝るときも起きるときも、これを彼らに語りなさい。
6:8 これをしるしとしてあなたの手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。
6:9 これをあなたの家の戸口の柱と門に書き記しなさい。


箴言9:10 主を恐れることは知恵の初め、聖なる方を知ることは悟りである。

Tヨハネ4:9 神はそのひとり子を世に遣わし、その方によって私たちに、いのちを得させてくださいました。ここに、神の愛が私たちに示されたのです。
4:10 私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、なだめの供え物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです。
4:11 愛する者たち。神がこれほどまでに私たちを愛してくださったのなら、私たちもまた互いに愛し合うべきです。

マタイ22:37 そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』
22:38 これがたいせつな第一の戒めです。
22:39 『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。
22:40 律法全体と預言者とが、この二つの戒めにかかっているのです。」

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