小グループで聖書を学ぶ

33 アグルの祈り(箴言30:1〜33)

「心の門を開いて」

 人々の祈りは、自分の望みを追求する祈りが多くを占めているようです。生活において、不安や不満が多く、何かを手に入れ、何かができることを常に望んでいるからでしょう。しかし、そのため多くの人々が心をすり減らし、人生を疲弊させてしまうのです。聖書は、そんな姿について、何と教えているのでしょうか。

「御言葉の種を蒔きながら」

1 箴言30章は、アグルという人が記しています。アグルの名前の意味は「収集者」という意味です。知恵ある者として箴言を収集し、整理して、人々に教える人だったと思われます。30章全体を読んでみると、アグルは、謙虚で、観察眼に優れ、知恵を得ようと深く研究する性格の持ち主だったということが分かります。そんなアグルは、どんな願いをしていますか。
・1節/
・7〜9節/

2 この願いは、アグルの祈りと呼ばれるものです。なぜ「不信実と偽りとを私から遠ざけてください」と祈ったのでしょうか。不信実とは、空虚だ、むなしいという意味です。アグルの時代は、イスラエルが未曾有の繁栄を築いたソロモン王の時代です。その様相は、今の時代と似ています。
・8節a(1文目)/
・伝道2:11,箴言21:6/

3 現代社会と同じように、豊かさの中で人々は欲を追い求めて、価値のない空しいことに熱中したり、嘘偽りに陥ることが多かったようです。それで、アグルは、真実で誠実な人生を送れるようにしてくださいと祈っているのです。自分の利益や欲のために、人々の誘惑のために、むなしいことに夢中になったり、偽りに陥ることがありませんでしたか。



4 「貧しさを私に与えないで」と祈るのは、分かります。誰しも、貧しさを好まないでしょう。現代でも、貧困化が増大して、様々な社会問題を生じさせています。人は、貧しくなるとどのようになる危険がありますか。どんなことが考えられますか。
・9節後半/
・箴言6:30/

5 人は、貧しさのために心が曲がり、他者への妬みや憎しみを生じさせ、罪を犯すこともあります。アグルは、自分の弱さと限界を認めて神に助けを祈り求めたのですが、「富も私に与えず」というのは、どうですか。何か問題があるのですか。理由は何ですか。
・8節b(2文目)/
・9節前半/

6 富が悪いとか間違っていると言うのではありません。富には危険が伴うからです。繁栄や富は、人々を欲や野望の追求に走らせ、神から離れさせるからです。聖書は、物質の豊かさについて、どんな警告していますか。
・Tテモテ6:9〜10/


7 私たちは、弱い存在です。私たちは、貧しさと逆境の中で、信仰と希望が揺らぎます。ですから、富んでなければ、強くなければ、持っていなければと思い、それらを得ようと人生を追求します。それなのに、「ただ、私に定められた分の食物で私を養ってください」と祈っています。これは、どういうことなのですか。何か理由とか保証があるのですか。
・8節c(3文目)/
・ヘブル13:5, ピリピ4:19/

8 「栄光の富をもって、あなたがたの必要をすべて満たしてくださいます」と約束してくださいました。「ただ、私に定められた分の食物で私を養ってください」と祈ることが、私たちの思いや考えをどのようにしてくれるでしょうか。そのように生活したら、どんな人生を生きるようになるのでしょうか。アグルの祈りのようにして、苦難多き人生を生きたパウロは、何と証ししていますか。
・ピリピ4:11〜12/


9 ヘンリー・ナウエンという有名なキリスト教の学者がいます。50代に入ってから、彼は霊的な不安を体験するようになり、ハーバード大学でのアカデミックな生活を捨て、知的障害者の施設ラルシュ共同体で働きました。障害を抱えて全く自分を装うことをしない人々への対応を通して、何かを築ける自分というものを手放し、弱くて傷つきやすいありのままの自分を認めて癒されました。過去の自分がいかに能力を誇示し、人々の歓心を集め、権力を手にしようとする欲求に影響されていたかを知りました。その体験から多くの人々の心を癒し、魂を取り扱う本を書くようになりました。あなたの感想はどうですか。


「命の実を刈り取ろう」

 私たちもアグルのように、祈ってみましょう。必要なことを十分に供給してくださったことを感謝し、苦難と貧困の中でも失望しないで、謙虚に誠実に生きられるようにと祈りましょう。学びを通して与えられた気付きや導きをお分かちください。8節。

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