2025年11月23日「契約の虹」創世記9:1〜17
序−多くの人は、人生のある時点でトラウマ(心的外傷)となる出来事を経験します。6割の人が人生において何らかのトラウマを経験しているそうです。災害や事故で大きな被害を受けた人々は、生死の危険を感じたり、身近な人を失ったりする体験から心的外傷後ストレス障害(PTSD)を受けることがあります。洪水の恐ろしさを経験したノアたちは、このよう心的外傷(トラウマ)を負ったと想像されます。そのために、神はどのようにしてくださったのでしょうか。
T−新しい働きと使命で生きて行く−1〜7
ノアたちが箱舟から出た時、そこに広がる光景は、荒れ果てた惨憺(さんたん)たる大地の変わり果てた姿でした。洪水による大地の惨状を見て、大きな衝撃と恐れを感じたことでしょう。大きなトラウマを受けたに違いありません。これから、そんな大地で生きて行く不安と恐れが生じていたことでしょう。
そこで神は、ノアたちが新しい人生を歩むために使命を与えられました1,7節。「生めよ。増えよ。地に満ちよ」とは、地上に彼らの子孫と彼らが治めるすべての生き物が繁栄し、地を満たすことです。すでに与えられた使命です。創世記1:28。それで、ここで神から与えられた使命に生きて行くのだという思いになったのです。今日イエス様を信じて救われ、新しい人生を生きるすべての聖徒たちにも、同じように使命が与えられています。新しい命を下さる時、新しい使命をともに与えられます。
そして、すべての生き物が人への恐れとおののきを持つようになると言われました。2節。変わり果てた大地を見て、不安と恐れの中にあった人に対して、生き物はそんな大地でも精力的に生きて、増えていき、人の恐れや不安の対象となるのです。神は人を守るために、獣が人を恐れるようにされたということです。人に対する神のご配慮だったのです。
また、人が植物だけでなく、動物の肉を食べることができるようにされました。3節。洪水以前は、人の食べ物は植物だけだったようです。1:29。箱舟から出た時、食べ物の心配が先立ったはずです。神は、荒廃した大地で生きて行けるように肉食ができるようにされたのです。確かに、世界を見れば、寒さや乾燥のために畑作のできない地域では、狩猟や家畜によって人の生活が支えられるようになりました。このことも、人に対する神のご配慮から出たものだと分かります。
ただし、肉を血のあるままで食べてはならないと言われました。4節。理由は、肉の命である血と言っています。肉がまずくなる、気持ち悪いというのではなく、肉の命は血にあるということで、命の尊厳を教えていたのです。そんなこと必要なのと思えることでも、聖書の命令には、ちゃんと意味があるのです。
ですから、続く5〜6節でも、すべての命を大切にし、守り、愛するようにと教えられています。人の命のためには、「血の価を要求する」と三度も繰り返し厳しく言われました。神がご自分に似せて造られた人への尊厳を持つように教えられています。1:26〜27。
そうして、神の栄光の性質が私たちの生活を通してこの世に反映されるようにされます。私たちの人生すべてにおいて、殺す人生ではなく、生かす人生を生きるということです。一つの失われた魂を救うことになれば、魂を生かすことになります。私たちの働き、人との関わりが、人を生かすことになりますように願います。救われた者は、新しい働きと使命に生きて行くのです。
U−契約−8〜11
ノアが箱舟を出て廃墟のような現実を見た時、何を感じたでしょうか。さあ、畑を作って、家を建てようと意気込んだのでしょうか。いいえ、絶望、恐れ、不安の思いに満たされたことでしょう。その時、神は、ノアに祝福をくださいました。8〜11節。ノアの契約です。「すべて肉なるものが、再び、大洪水の大水によって断ち切られることはない。大洪水が再び起こって地を滅ぼすようなことはない」という約束です。
これによってノアたちのトラウマが癒され、不安や恐れから解放されて生きることができるようになります。こういう約束をしてくださったということは、ノアたちが洪水とその後の惨状によって、どれほど心に傷を受け、不安や恐れを抱いていたかが分かります。災害や事故で大きな被害にあった人々が受ける心的外傷後ストレス障害を、ノアたちも受けていたのです。この約束が、どれほど癒し、慰め、平安となったことでしょうか。
神は、ノアとその家族が洪水後新しい生活を始めるために、契約という祝福をくださいました。契約という言葉が七回も出て来ます。それだけ強調されているということです。それに、「わたしの契約」も繰り返されています。神は約束してくださり、その約束を必ずなしてくださいます。でも、なぜ契約と言われるのでしょうか。ふつう契約は、双方の約束があってはじめて契約となります。しかし、このノアの契約は、神の一方的な恵み、約束だけです。エペソ2:5,8。
イエス様の十字架による救いについて、イエス様ご自身が「新しい契約」と言われています。ルカ22:20。神の方では、イエス様の十字架の犠牲を払われたのに、救いを受ける私たちは何も犠牲を払っていません。ただ、信じて受けるだけです。それなのに、契約と言われています。神の約束ですから、イエス様の十字架の犠牲を信じた私たちは、確実に救われて天国へ入る確信を持つことができるのです。
聖書は、何と言いますか。新約聖書、旧約聖書と言います。古い契約と新しい契約です。聖書は、約束の本です。神の約束が記録された本なのです。人の社会では、契約と言えば、常に甲乙というような双方による契約です。ところがここでは神が一方的に契約をされています。それは、神が私たちのために一方的にしてくださるあわれみと恵みによるのです。
ですから、私たちも人生を生きて行く中で、様々な問題や出来事によって、恐れや不安、心の傷を受けますが、このあわれみ深い救いの契約の中にあります。洪水から救われたノアたちに与えてくださったように、私たちにもそのような中で癒しと平安を与えてくださるのです。イエス様が、すべての痛みと恐れと苦しみを十字架に負ってくださったからです。Tペテロ1:24,Tテモテ2:6。
この時のノアの感情はどんなものでしたか。破壊された大地の惨状を見ながらノアが持っていた感情は恐れでした。そのノアに対して、神は「わたしはあなたと契約を結びます。恐れないでください。心配しなくてよいです。わたしに信頼して、従ってくれればよいのです」と言われたことになります。皆さんは、どんな恐れや不安がありますか。心配すること、恐れること、心痛むことは、誰にでもあります。それでも、信仰をもって未来を見る時、自信を持って進んでいくことができます。救いの契約に与っているからです。イエス様の救いを受け、神に信頼する人は、平安を与えられます。ヨハネ16:33。
V−虹の証拠−12〜17
神は、この契約のしるしとして虹を与えてくださいました。12〜13節。洪水による裁きを経験したノアには、どんなトラウマがあったのでしょうか。水に対して、雨に対してトラウマがあったでしょう。雲を見ると怖がり、雨が降り始めると心が痛んだはずです。ですから、再び洪水で滅ぼすことはしないと、神はノアと恵みの契約を結ばれました。ここに、神の愛があります。虹とは、この契約にふさわしいしるしです。今日も、心に傷を受け、心に痛みを抱く者は虹を見ることができます。そして、神が人と結ばれた救いの契約を覚えることができます。
人は、心の傷が大きいと疑いも大きくなります。神を信頼できず、御言葉の約束を疑う傾向になります。ですから、神は「大洪水が再び起こって地を滅ぼすようなことはない」と宣言されるだけでなく、虹を通してその契約を必ず守ると約束されたのです。トラウマを受け、心に傷をうけた者に対して、神のあわれみと愛がこのしるしに入っています。
まず、「虹が雲の中に現れる」と繰り返されています。14,16節。虹ができるためには、雲と雨が必要です。雨が止んでから虹が浮かびます。雨が降って洪水のトラウマが生じる時、「肉なるものを滅ぼす大洪水となることはない」という契約の恵みを覚えさせてくださるのです。
そして、何と虹は神ご自身がご自分を制するためだというのです。15〜16節。「思い起こす」という言葉が繰り返されています。それは、私たちを顧みてくださり、そのためにご自分を契約に従わせるという意味です。虹という言葉には、矢という意味もあります。確かに、形が矢に似ています。矢の方向は天に向いています。神がご自分を矢で牽制(けんせい)しておられるようです。どれだけ、確かな恵みの契約でしょうか。
問題に出会い、恐れや心に傷を受ける度に、トラウマが生じます。人は、心の傷が大きいと疑いも大きくなります。神を信頼できず、御言葉の約束を疑う傾向になります。しかし、私たちの救いのためにイエス様を十字架に渡されました。イエス様の犠牲が私たちを救う虹です。十字架を覚える時、救われたことを覚え、心の傷を癒され、不安や恐れから解放されます。イエス様を信じて救われていることに感謝します。Tペテロ2:24。
創世記9:1 神はノアとその息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。増えよ。地に満ちよ。
9:2 あなたがたへの恐れとおののきが、地のすべての獣、空のすべての鳥、地面を動くすべてのもの、海のすべての魚に起こる。あなたがたの手に、これらは委ねられたのだ。
9:3 生きて動いているものはみな、あなたがたの食物となる。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与える。
9:4 ただし、肉はそのいのちである血のあるままで食べてはならない。
9:5 わたしは、あなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。いかなる獣にも、それを要求する。また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。
9:6 人の血を流す者は、人によって血を流される。神は人を神のかたちとして造ったからである。
9:7 あなたがたは生めよ。増えよ。地に群がり、地に増えよ。」
9:8 神は、ノアと、彼といっしょにいる息子たちに告げて仰せられた。
9:9 「見よ、わたしの契約をあなたがたとの間に立てる。そして、あなたがたの後の子孫との間に。
9:10 また、あなたがたとともにいるすべての生き物と間に。鳥、家畜、それに、あなたがたとともにいるすべての地の獣、箱舟から出て来たすべてのものから、地のすべての生き物に至るまで。
9:11 わたしは、わたしの契約をあなたがたとの間に立てる。すべて肉なるものが、再び、大洪水の大水によって断ち切られることはない。大洪水が再び起こって地を滅ぼすようなことはない。」
9:12 さらに神は仰せられた。「わたしとあなたがたとの間に、また、あなたがたとともにいるすべての生き物との間に、代々にわたり永遠にわたしが与えるその契約のしるしは、これである。
9:13 わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それが、わたしと地との間の契約のしるしである。
9:14 わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。
9:15 そのとき、わたしは、わたしとあなたがたとの間、すべての肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い起こす。大水は、再び、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水となることはない。
9:16 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべて肉なるものとの間の永遠の契約を思い起こそう。」
9:17 神はノアに仰せられた。「これが、わたしと、地上のすべての肉なるものとの間に、わたしが立てた契約のしるしである。」
ルカ22:20 食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による、新しい契約です。
Tペテロ2:24 キリストは自ら十字架の上で、私たちの罪をその身に負われた。それは、私たちが罪を離れ、義のために生きるため。その打ち傷のゆえに、あなたがたは癒された。
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